「住宅メーカー」と異業種コラボが拡大する事情 共働きの暮らし改善やIoTの普及にも一役

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もちろん、住宅事業者による異業種連携がすべてうまくいっているわけではない。例えば、収納の専門家とのコラボレーションによる提案もよく見られるが、筆者はこれについてはかなり懐疑的に見ている。

収納は消費者が最も重視するポイントの1つである。住宅事業者なら当然、独自かつハイレベルなノウハウがあってしかるべきだ。その提案を外部に依存するのは、住まいのプロとしては好ましくないと考えるからだ。住宅購入やフォームを検討され、信頼できる事業者を探している方はこんな視点で選んでみてはいかがだろうか。

異業種との連携の効果については良しあしを図る線引きは難しいものがあるが、筆者のような意地悪な見方をするケースもあり、やり方次第では逆効果になる可能性があるわけだ。

共働きへの対応は?

さて、共働き世帯の増加、働き方改革の推進なども住まいや暮らしに強く影響を与える社会の変化だ。中でも共働き世帯の数は今や約1250万世帯(専業主婦世帯の約2倍)、全世帯の約7割を占めるため、住宅事業者は強く対応を迫られている。

夫婦が共に仕事を持ちそれぞれが忙しいため、住まいに家事の負担を軽減できる工夫が求められているのだ。その中で、旭化成ホームズでは、早くからこの状況に着目し対応を進めてきた企業である。

「共働き家族研究所」を30年前の1989年に開設。以来、「DEWKS(Double Employed With Kids=デュークス)」シリーズという共働き世帯向け提案商品を開発、バージョンアップを図るほか、生活実態に関する情報発信を行ってきた。

同研究所では開設当初から約5年にわたって、異業種(東京ガス・東陶機器・松下電器産業・ヤマハの研究機関など、社名は当時のもの)との交流による研究会を発足し共同研究を行い、その成果を商品づくりなどに役立てていた。

その中では、今取り組みが進みつつある在宅勤務のあり方に関する調査なども行われていたとのこと。その後、独自の消費者調査やマーケティングに注力し、異業種連携は少なくとも共働き家族研究所では行われなくなっていたという。

しかし、今年7月、家庭内のさまざまな作業の効率化に貢献を目的に、6社1団体(旭化成ホームプロダクツ、永谷園ホールディングス、ナック、マルコメ、ABC Cooking Studio、G‐Place、共働き未来大学)と共同で「ゆとりうむプロジェクト」を新たに発足させている。

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