佐藤孝治
●エピソードをPDCAのスタイルに整理する
ネタ選びの後は、いかにしてPDCAのスタイルに加工するかが重要になる。大半の学生は自分の体験を発生した時間順に話していくが、それでは中身にメリハリがない。せっかくのエピソードもその場の雰囲気が伝わってこないし、残念ながらその人の能力や人間性が見えてこない。エピソードを語る基本は、自分が過去に経験した出来事の中から、自分の努力でうまくいったなと思えるものを選び出し、それをP・D・C・Aの順番に整理し直して、メリハリをつけて伝えるというのが原則だ。場合によっては、最初の「P」の部分は省略して、D・C・Aの順番で話してもいいが、とにかく大切なのはメリハリだ。「使用前」「使用後」の違いをハッキリと面接官に説明することが大事である。
実際にはあまりうまくいかなかったケースも、話の組み立て方を工夫すれば、「自分が問題意識を持って行動した結果、こんなによくなりました!」と笑顔で主張できる。自信を持って積極的に成果を主張できるということもビジネス世界では貴重な能力なのである。
●選考する立場を経験すると伝える能力がアップする
自分のエントリーシートをブラッシュアップする究極の方法は、選考する立場を経験することである。自分が企業の人事部になったつもりで、たくさんのエントリーシートを読み、どのエントリーシートが魅力的に感じたのか、この人は入社したら活躍しそうだと感じたのかということをしっかり考えると、どんなエピソードをどのように表現すればよいのかを体感することができる。私達ジョブウェブ(http://student.jobweb.jp/)では、「エントリーシート・コンテスト」というウェブ上で行うプログラムを通じてエントリーシートのブラッシュアップをサポートしている。●ネタ加工の五原則 ?面接官にこのように伝えよう!!
面接の骨格としてPDCAサイクルを強調する一方で、エピソードの中身のブラッシュアップを進めよう。そこには次の5つの原則がある。これを守るだけでエピソードの伝わり方はまったく変わるので、ネタの加工に役立てよう。1.具体的なデータを挟み込んで説得力をつける
「サークルの会員が6カ月で○人から○人に増えた」「バイト先の売上高が○円から○倍になった」「○円かけて○万枚のポスターを作ったら、○千人のお客が来た」など、どこかに具体的な数字を入れる。これは話の説得力を増す上で非常に効果がある。
2.できるだけ独自性がある話題を選ぶ
話題はバイトでもサークルでも構わないが、その経験の中で自分だけが知ったこと、他の人は知らないことを話に盛り込む。「実はこの商売のコツはこの部分にあるんですよ」「こういう話し方をすると、お客様はこう反応するんですよ」「サービスの制度をこう変えたら、会員の反応はこう変わったんです」。
3.日常生活でも「問題意識」を持っていることをアピールする
漫然と日々を暮らしているのではなく、問題意識を持って周囲を見ているというところをアピールする。「バイト先の仕組みに問題点があると思ったので、改善のプランを書いて店長に提案してみました。するとこういう結果に……」「先輩のサークル運営方針に疑問があったので、仲間で話し合って規約改正を実現しました」など。問題意識を持つだけでなく、行動に結びつけていることがポイント。
4.人を感動させる話があればなおいい
あまり「泣かせ」の要素が濃すぎると厭味になるが、感動的な話があれば盛り込んだほうがいい。「塾の教師を辞める最後の日、一番できの悪かった子がこんな手紙をくれたんです」「ホームステイの最終日にホストファミリーのお母さんがこんなことを言ってくれました……」という感動的な話は興味を引くだろう。
5.最後に一言「決意」を入れて相手に印象づける
どんな話でも、最後に「だから私は今後こうします」「こうしたいです」という決意を込める。この一言で人に与える印象がグッと引き締まる。別に実現可能性があるかないかは問わないので、とにかく「こんなふうに努力します」と決意してしまえばいい。ただし「人類の平和に貢献……」とか、あまり大げさにならないように注意。
※「大学生のための就職活動成功指南」は、「ジョブウェブ」から提供を受けています。
佐藤孝治(さとう・こうじ)
株式会社ジョブウェブ代表取締役社長
1972年東京都生まれ 早稲田大学社会科学部卒。
就職活動後、大学4年生の96年10月ジョブウェブを創設。 97年7月、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
99年10月、ジョブウェブを法人化。
現在、株式会社ジョブウェブ社長として講演や勉強会などに全国を飛び回っている。学生の就職支援と企業の採用支援を通じて学生と企業の本音コミュニケーションをサポートしている。
株式会社ジョブウェブ代表取締役社長
1972年東京都生まれ 早稲田大学社会科学部卒。
就職活動後、大学4年生の96年10月ジョブウェブを創設。 97年7月、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
99年10月、ジョブウェブを法人化。
現在、株式会社ジョブウェブ社長として講演や勉強会などに全国を飛び回っている。学生の就職支援と企業の採用支援を通じて学生と企業の本音コミュニケーションをサポートしている。
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