ポカリとキリンCMヒットの鍵に「歌とコミュ力」 音楽を中心に据えたCMが上位にランクイン

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音楽にはストレスを軽減したり気分を高揚させたり、快適な眠りに誘ったりと感性に直接作用するパワーがある。いずれのCMも、商品を飲用する際に消費者に感じてほしい情緒的ベネフィットに近い楽曲を採用することで心地良い世界観の確立に成功しているといえよう。

日夜オンエアされるCMの中には、話題性を狙うあまり、企業側の“目立ちたい”という下心が透けて見えるものもあるが、これらのCMはすがすがしいトーン&マナーで押しつけがましさがなく、軽やかな口当たりや健康的な商品イメージが感覚的に伝わってくるようだ。

一方通行型のCMと双方向型CMの違い

おそらく“目立ちたがり”に見えてしまうCMは、情報の受け手側に対する想像力が足りていないのではないだろうか。大きな声で主張することでどうにか相手の関心を引こうとする“一方通行型”広告といえる。一方、淡麗グリーンラベルやポカリスエットは、CMを見た視聴者の心のありように想像を巡らせ、消費者が感じる心地よさをもってブランドの世界観を完成させるという“双方向・共同作業型”のコミュニケーション設計だ。

企業が消費者に情報を届けることに投資対効果を求められる広告だからこそ、他社より少しでも目立ち注目されることを求める姿勢は責められない。しかし不特定多数に向けた、しかも予定的に視聴することができないテレビCMというメディアを介するからには、偶然接触しても自然に受け入れられ、見る人を不快にさせない作法が必要だろう。

興味のない自慢話を早口でまくし立てるよりも、穏やかに相手と呼吸を合わせて語りかけるほうが愛されるという点は、広告もリアルの人間関係も同様といえそうだ。

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