公立幼稚園・保育園の廃止が急ピッチ、廃止を強行した東久留米市は是か《特集・自治体荒廃》

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公立幼稚園・保育園の廃止が急ピッチ、廃止を強行した東久留米市は是か《特集・自治体荒廃》

東京都の北西部に位置する東久留米市。戦後、団地の建設とともに開けた人口11万人の近郊都市で、市内に三つある公立(市立)幼稚園が3月末、一度に閉園する。

市の西部にある大道幼稚園もその一つだ。2月6日午前10時、野崎重弥市長や市議会議員、教育委員会関係者、歴代園長や保護者などを集めた「閉園式」が開催され、園児による「さようなら、僕たちの大道幼稚園」という言葉で、29年の公立幼稚園の歴史が締めくくられた。

「幼児人口の減少で私立幼稚園の定員割れが拡大する中、公立を残したままだと、私立の経営に悪影響を与える」

「人口急増時に私立幼稚園の補完として設立された公立幼稚園の歴史的役割は、すでに終わった」

東久留米市はこうした理由から公立幼稚園の全廃に踏み切る。

もともと廃止には強い反対が持ち上がっていた。

幼稚園閉園に不信感 幼児教育充実は棚上げ

2005年2月の議会には、保護者が集めた2万人を超す署名を付けた「市立幼稚園3園の存続を求める陳情」が提出された。だが、同3月の定例議会で陳情は不採択となり、6月議会で廃止条例が可決された。そして今年3月末で、大道幼稚園、下里幼稚園、上の原幼稚園の3園が幕を閉じることになる。

廃止条例の可決から時間が経過していることもあり、保護者や地域住民の表立った反対運動はすでに存在しない。だが、閉園式では「やっぱり乱暴なやり方だ」というつぶやきがあちこちで聞かれ、市への不信感の根強さを感じ取ることができた。

公立幼稚園がなくなることで、大橋美奈子さん(40)は二女を4月から市内の私立幼稚園に入園させることを決めた。

小学生の長男と長女はかつて下里幼稚園に通っていたが、3月末で閉園。「二女が通う今度の園は下里幼稚園と同じく、子どもをしっかりと遊ばせてくれるのが魅力ですが、西武池袋線の北側まで自転車で片道30分かけて送り迎えをしなければいけません」(大橋さん)。

渡辺めぐみさん(44)は現在、二男を大道幼稚園の年長クラスに通わせている。小学生の長女、二女、長男とも大道幼稚園の卒園児だ。

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