湖池屋が「プレミアムポテチ」路線に走るわけ

シェアトップ「カルビーに対抗しない」戦略

日本のポテトチップスの元祖は湖池屋だが、シェアではカルビーが勝る。カルビーは松本晃会長時代に、スナック菓子の価格を戦略的に下げ、数量を伸ばすことによって工場の稼働率を上げるという戦略をとった。こうしたコスト削減戦略により、カルビーは2011年度に63%だったポテトチップスのシェアを2018年度には72%まで拡大させた。

シェア重視のカルビーに対抗し、湖池屋が生き残るためには価格では勝負せず、プレミアム路線で新たな需要を取り込むしかなかったのだ。

佐藤社長はキリンで「生茶」や「FIRE」などをヒット商品に導いた実績を持つマーケッターだ。34.5%の株式を持つ筆頭株主の日清食品ホールディングスの安藤宏基CEOから「新たなブランディングも含め、湖池屋の経営をやってみないか」と誘われ、2016年に社長に就任した。

当時の湖池屋について、佐藤社長は「老舗だけど、どこか垢抜けない。ユニークさはあるが、品質感はそれに匹敵しないという印象だった」と振り返る。

商品開発のヒントになった創業者の肉声

佐藤社長はまず、コーポレートロゴを一新。続いて旗艦商品となる「プライドポテト」の開発に着手した。ヒントになったのは、テープに残っていた創業者、小池和夫氏(故人)の肉声だ。

「創業者は、料理人のように製法や味付けにこだわっていた」と語る湖池屋の佐藤社長(撮影:尾形文繁)

「聞いてみると、まるで料理人のように製法や味付けにこだわっていた。創業者が持っていた情熱、料理人のプライドを現代によみがえらせなければならない」。素材と製法に徹底的にこだわったプライドポテトが誕生した。

「魅惑の炙り和牛」味は一時販売休止に追いこまれるなど、計画を大幅に上回る売れ行きを記録した。折しも2016年の夏に北海道を襲った台風の影響でじゃがいもの収穫量が減少し、商品が欠品する「ポテチショック」も重なったが、「湖池屋の新商品は売れる」という認知が小売店に広がった。

「プライドポテトがヒットしたことで、スーパーなどの小売りが湖池屋に売り場の(どこにどのような商品を並べるかという)棚割り提案を任せてくれることが増えた」(湖池屋のマーケティング担当者)。1袋100円以下で安売りされることも多い定番のポテチに比べ、150円程度(オープン価格のため、小売店によって異なる)と、ややプレミアムな価格帯で、収益をしっかり確保できるプライドポテトは小売店側にとって好材料に映った。

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