「糖質制限」極端なやり方が健康に害をなす危険 体重は減っても死亡率が高まる可能性がある

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何よりも炭水化物は、多くの人にとっておいしいもの。極端な糖質制限食を実行するには、白米やパンや粉ものや麺類や芋類を諦めなければなりません。もちろん、砂糖もダメです。寿司や親子丼やサンドイッチ、お好み焼きやペペロンチーノ、ざる蕎麦や焼き芋、ケーキや饅頭を我慢したうえで、長期的な利益があるのかどうかはあまりはっきりしない、かえって死亡率が上がるかもしれないという食事法をするのは割に合いません。

たとえ糖質制限をするとしても、「糖質さえ制限すれば、後は何を食べてもいい」という単純なものではなく、植物性の食品を多くとったほうがよさそうです。

ただし、糖質制限食のために、食事における野菜の割合を増やせば、そのぶんだけ金銭的にも時間的にもコストがかかります。米やパンに比べると野菜は高いし、調理の手間もかかるのです。現実的に考えると長く続けていくのは大変でしょう。

おすすめは「緩やかな糖質制限」

もちろん、好みで緩やかな糖質制限はしてもいいと思います。長期的にどうかはわからなくても、糖質を制限することは総摂取カロリーの制限につながり、体重を減らすためには効果的だからです。というか、私も体重を減らすために緩やかな糖質制限をしています。

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例えば、モヤシカレー。お鍋にお湯を沸かして、レトルトカレーを温めた後に、モヤシ一袋をサッとゆでます。ご飯ではなくゆでたモヤシにカレーをかけて食べると、ちょっと食感が変わっておいしいものです。モヤシは野菜にしては安いし、レトルトカレーだけでは不足しがちな食物繊維がとれますし、ご飯を炊かなくてもいいというメリットもあります。さすがに「カレーには必ずモヤシ」はごめんこうむりますが、たまになら無理なくできます。

多くの人にとって、食べることは人生の大切な楽しみの1つです。私たちは、「何かを我慢すれば、その我慢に見合うメリットが得られる」と考えがちですが、必ずしもそうではありません。どうせなら、楽しく健康・長寿を目指しましょう。

名取 宏 内科医

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なとり ひろむ / Hiromu Natori

大学病院勤務、大学院を経て、現在は市中病院に勤務。診療の傍ら、主にインターネット上で「科学」と「ニセ科学」についての情報を発信している。著書に『新装版 「ニセ医学」に騙されないために』(内外出版社)がある。BLOG:NATROMのブログ

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