定番のテーマが並び、制作費は削られる一方の地上波テレビドラマの中で、攻めた作品を作り出すにはネット配信とのタッグも1つの手。夏の地上波連続ドラマに並ぶ「スカム」もそんな形で作られた作品で、MBS/TBS深夜ドラマ枠とNetflixの同時展開を実現しています。
「振り込め詐欺」を題材に、深夜ドラマながらのスケール感も見せながら、若者たちの転落の姿を描いています。
「面白いけど怖い」、詐欺師が主役のドラマ
タイトルの「スカム」は「SCAM=詐欺」や「SCUM=人間のクズ」を意味します。ダークなイメージそのままに、犯罪累計被害総額5000億円とも言われる「オレオレ詐欺」の詐欺師を主人公にした極悪な世界を描いています。
アウトローが主役のドラマと言えば、キャラクターのカリスマ性の高さが魅力の「闇金ウシジマくん」(MBS制作、山田孝之主演)や、人をだまして金を奪うという基本設定こそ同じの「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ制作、長澤まさみ主演)などのヒットドラマがありますが、「スカム」は華やかさや痛快さとは無縁。
等身大の若者が犯罪者へ身を堕としていき、実社会で現実的にありうるリアルな恐ろしさを追求しています。SNS上では「面白いけど怖い」という評価が並びます。
それもそのはず。「犯罪する側の論理」「犯罪現場の貧困問題」をテーマに、社会の裏側で生きる若者の実態を取材するルポライター、鈴木大介氏著書の『老人喰い』が原案です。高齢者を狙う詐欺を「老人喰い」と称し、どのような若者たちが詐欺に走り、どのような手口で高齢者をだましているのか。そんな実態を容赦なく書きつづった原案を基に、実写ドラマ化しています。
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