グラスに注ぐと、美しいルビー色で艶々とした色気が感じられます。香りは穏やかですが、しっかりと成熟したブルーベリーやカシスのようなベリー系の香りが主体で、そこにほんのりとスミレなどの小さな紫色の花の香りが続きます。
飲んでみると、アタックがとても優しく、口中にワインがナチュラルに広がっていきます。ほんのりと木樽由来のフレーバーも感じられ、味わいの後半にかけてジューシーな肉のローストを連想させるコクと旨味がやや長めの余韻をつくっています。
まさに上質な日本のワイン
味わいに存在感がしっかり感じられるのですが、通常のマスカット・ベーリーAよりも酸がやわらかいせいか、口に含んでから飲み込むまで、終始やさしく穏やかな印象のままで、上質な日本ワインという感じがします。
このワインを有名人に例えるなら、女優の黒木華さんです。某語学番組では、ナチュラルでキュートな一面も見せてくれている彼女ですが、映画などでの演技はじんわりと味わい深く、主演でも助演でも印象的な表情や演技で、その作品の味わいを支えていると感じています。彼女のキュートな印象と演技の味わい深さが、このワインを飲んだときにパッと頭に浮かびました。
合わせるお料理は、出汁やみそなどのうま味との相性がいいので、和食とのペアリングでは大活躍だと思いますが、例えば醤油、みりん、酒の味付けにカボスやユズなどを効かせた白身魚の幽庵焼きや、タレで食べる焼き鳥のねぎまとかはバッチリ合いますね。
日本ワインの特徴は、当然、品種特性や造り方によって異なりますが、そのやわらかさにあると私は思います。飲み疲れしなくて、フードフレンドリーな点が海外でも少しずつ評価されており、世界の料理が軽やかで、手軽になっている現在において、日本ワインがワイン業界を熱くさせる日もそう遠くないのではないでしょうか。
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