これだけは知っておきたい「日本の赤ワイン」

「マスカット・べーリーA」の魅力とは

おさらいですが、日本ワインとは、国産ブドウを原料として、日本国内で生産された果実酒のことを指します。日本のワイン造りは明治初期に始まりましたが、トントン拍子に進んでいったわけではなく、日本の風土に合った、ワイン用ブドウ品種の品種改良が必須でした。

この品種改良に尽力したのが「日本のワイン用ブドウの父」と呼ばれる川上善兵衛(ぜんべえ)です。川上家は現在の新潟県上越市の大地主で、勝海舟と親交があり、彼から海外の葡萄酒をふるまわれることがあったそうです。そして、ブドウは痩せた土地でも栽培できる、新しい産業になるのでは、と考えた川上は、1890年にブドウ栽培とワイン醸造のために「岩の原葡萄園」を新潟県上越市に開園しました。

日本では甲州に次いで生産量が多い

とはいえ、海外から輸入したブドウ樹の苗木は日本の気候風土に合わず、なかなかうまく根付きませんでした。そこで川上は1922年より、日本に根付くブドウ品種の開発を始め、なんと1万回をゆうに超える品種交雑を行い、その中から22のワイン用ブドウ品種を優良品種として発表しました。

このときに開発されたマスカット・ベーリーA、ブラック・クイーンは日本ワインの代表品種。他の品種についても、現在でも全国各地で栽培され、ワインが造られています。

ちなみに、黒ブドウのマスカット・ベーリーAが開発されたのは、1927年。「ベーリー」というアメリカ系品種と「マスカット・ハンブルグ」というヨーロッパ系品種の交雑により生まれました。

AがあるということはBもあるのかなって思いますよね? 実は当時、同じ掛け合わせでマスカット・ベーリーBという品種も作られたらしいのですが、Aのほうが生き残ってBのほうは広まらなかったようです。

現在、日本のワイン用品種の中では甲州に次いで生産数量が多く、赤ワイン用品種の中では最も多いのがこの品種です。主な産地も甲州と同じく山梨県で、やはり山梨県は日本ワインの生産の中心であるといえますね。

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