300円のお通し、支払い時の小さくない疑問 居酒屋で乾杯!出てきた小鉢は断れるのか
居酒屋などで最初に出されてくるお通し。注文した料理が出てくるまでの酒のさかなだ。すぐ出せるように作り置きしてある料理が300円程度の価格で少量提供されることが多い。なかには、1000円を超えるお通しを出す店もある。
だが、最近の訪日観光客の増加を反映してか、外国人客に提供したお通しについての苦情が増えているという報道も見られる。無料だと思って食べたお通しの代金が会計時になって請求され、トラブルになるというケースだ。
お通しは日本の文化という人もいる。お通しの語源について、「お客様をお通しした」、あるいは「注文を通した」という意味で出したからともいわれ、関西方面では突き出しともいう。お酒はすぐに提供できるが、料理は時間がかかるので、すぐに出せる1品があったほうがいいという気遣いから誕生したという説もある。それゆえにひと昔前は無料だったという証言も多い。
お通しは利益確保の手段でもある
チェーン店などが台頭し居酒屋が大衆化したことで、競争環境は厳しくなった。たとえば、客単価が3000円の店だったら300円のお通しを出せば、その10%を占めるわけだから、利益確保の手段にもなっている。おもてなしの役割を持つお通しが、店側にとって都合のいい売り上げ確保の手段になってしまっている側面もあるのだ。
「お通しはおもてなしの心。料理人の腕がわかる」「季節感のあるお通しが楽しみ」とった意見がある。しかし、業務用のマカロニサラダや切り干し大根などで300円以上の代金を取る店も目立つ。
大学生に消費生活上の不満を尋ねると、居酒屋のお通しを挙げる者が少なからずいる。お通しに支払う300~400円は大学生にとっては学食で食べる昼食1回分と同じ。食べたくないもの、嫌いなものでも代金を支払わなければならないのは納得いかないというのが不満の理由だ。
そこで、私が兼任講師を務める立教大学法学部の消費者法ゼミで2014年に学生たちが都内の大手チェーン居酒屋10店舗を調査し、お通しの価格、内容、断ることができるかなどを調べた。
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