300円のお通し、支払い時の小さくない疑問 居酒屋で乾杯!出てきた小鉢は断れるのか
調査の結果、お通しを断ることができる店舗とできない店があり、価格は273円(税込み)から399円(同)だった。
店舗によっては「お通しをご希望でない場合は遠慮なくお申し付けください」とメニュー記載する店があったり、「当店ではお通し代として380円を頂戴しております。ご了承ください」と提供を半ば強制するお店もあった。このときはチェーン店のみでの調査だが、何の表示や説明もなく提供され、会計時になって金額がわかる店も多い。
学生を中心にアンケート調査も実施した。お通しの価格が思ったより高かった、嫌いなものやアレルギー成分の含まれたものが出されたことがあるなど、否定的な意見が大半を占めた。
お通し文化そのものを禁止すべきとする意見はあまりなく、お通し提供の有無、価格、断れるかどうかを事前に表示し、消費者がそれを参考にお店を選べるようにすべきという意見が大半であった。そこで、お通しの制度や価格内容について、ゼミで表示制度の検討を消費者庁と東京都に要望した。現在、こうした表示を義務づける法律や条例はない。
世間のとらえ方もさまざまだ
この調査はマスコミの関心を集め、NHKや民放各社、新聞各紙で取り上げられた。反響はさまざまだった。「いつもおかしいと思っていた。すばらしい調査だ」「法学部の学生がキャンパスを出て日常生活の問題を調べ、問題提起するのはすばらしい」といった評価を受けた。
一方で、「無粋なことを言うな」「学生は酒など飲まずに勉強していろ」「法学部ならもう少しましな研究はないのか」といった批判もあり、世間のとらえ方はさまざまで興味深かった。
批判的な意見のなかで、「お通し代は席料と思えばよい」「お通しをやめたら、料理やお酒の価格が高くなるだけだから結局同じだ」というような意見が大半を占めた。経済学的にはそうかもしれない。しかし、法律学では取引の公正性や相手方に対する誠実性を重要視する。
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