ココイチ社長が激白!「聖地」インド進出の勝算

日本式カレーはインド人に通用するのか

――とはいえ、日本式のカレーは本当に受け入れられるのでしょうか。

約13億人の人口が毎日、スパイスを使ったいろんな種類の「カレー」を食べている。1カ月に1食、2カ月に1食でもいいので、ココイチを選んでくれたらすごい数になる。13億人の1%でもすごい数。魅力的な市場だ。

葛原守(くずはら まもる)/1967年生まれ。調理師専門学校を卒業後、ホテル勤務を経て1992年に壱番屋入社。2004年に中国事業を手掛ける際、自ら手を挙げて国内営業から転身、海外事業を率いた。常務、副社長を経て2019年3月から現職(撮影:梅谷秀司)

以前タイに出店したときには、「タイにはタイカレーがある。なぜ日本のカレー専門店がわざわざタイに出店するのか」と言われた。当時は今みたいに多くの日系企業がタイに進出していなかったので、「たぶん成功しないのではないか」という評価も最初はあった。

しかし出店をすると、タイ人のお客がたくさん来店された。現在は30店近くにまで増えている。顧客からは「タイにはタイカレーがあるけど、これはまた別のカレーとしておいしい」と、評価されている。

私たち日本人も、お母さんが作るカレーライスの日もあれば、レストランでインドのカレーを食べる日もある。「日本のカレーしか私たちは食べない」ということはない。それはインドの方も同じで、いろんなチョイスがある中の1つになると思っている。

インドでもココイチ独特の「選ぶ楽しさ」を

――日本のココイチで提供しているカレーをそのまま現地に持っていくのですか。

もちろん。ただ、日本の店舗で提供しているポークカレーソースには豚肉が入っており、(口蹄疫を出した国なので)海外に輸出できない。そこで動物性の原料を使わない「ベジタリアンカレー」を持っていく。

インドだと「長粒種」のインディカ米が主流だが、日本のカレーソースはインディカ米には合わないので、「短粒種」のジャポニカ米を調達して、日本の普通のカレーライスをインドでも提供する。トッピングを選んだり、カレーの辛さやご飯の量を調整したり、そういうココイチ独特の「選ぶ楽しさ」もインドで提供していく。

――ナンも提供するのですか。

日本でもナンのメニューがある。現地でもたぶん調達できるので、ナンもレパートリーに加えたい。

――経済発展が著しいとはいえ、インドの所得水準は日本と比べるとまだまだ低いです。価格設定も難しいのでは?

できるだけ価格は下げたいと思ってはいるものの、最初は日本円換算で客単価1000円前後になるだろう。日本の所得水準と比べると、現時点ではこの価格設定はかなり割高になるが、やがて現地の所得水準も上がってくるだろう。

15年前に(初めての本格的な海外進出となる)中国に出店したとき、私が担当で駐在していたが、採用したアルバイトの時給は6元(当時のレートで約80円)で、カレーは当時30元ぐらいした。今の日本に当てはめると約5000円。高価でなかなか口にできないものだった。

中国は15年経って所得水準がすごく上がった。それに合わせてカレーの値段も上がったが、所得水準以上には上がっていない。進出当初は30代や40代のちょっとお金を持っている人たちや、デートに使ってもらうような店だったのが、今はもう中学生の子どもたちがお父さんお母さんにお小遣いをもらって食べに来るような店になっている。インドも10年後ぐらいには今の中国みたいになっているのではないか。

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