ココイチ社長が激白!「聖地」インド進出の勝算 日本式カレーはインド人に通用するのか

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――日本の外食にとって中国事業は難しく、撤退しているチェーンもあります。中国で店舗数を伸ばすことができた要因をどう見ていますか。

扱う商品がカレーライスでよかったなと思っている。1号店を出したときは、中国の方はカレーライスなんて知らなかった。「何これ、ご飯に茶色いソースかけて食べて」という感じで、店舗内をのぞき見して、そのまま帰るお客もたくさんいた。ただ、現地にライバルチェーンがいなかったこともあり、徐々に「日本のカレーライス=CoCo壱番屋」というイメージを浸透させることができた。

単品勝負だったのもよかった。われわれはカレーチェーンとしてのビジネスにこだわった。看板は同じだが、扱う商品をまったく変えていたら現地の顧客に支持されなかっただろうし、出店する意味もなかった。また、ファミリーレストランのようにたくさんのメニューを扱うと、全部中華風にしても、すべてのメニューが現地の顧客にとって魅力的なものにはならなかっただろう。

女性客にとって魅力的な店舗とメニューを作った

――カレー文化がなかった中国で、どうやって浸透させていったのですか。

当初は1日に20~30人しかお客が来ない日が続き、半年以上悩んだ。日本人の私たちでもそうだが、男性は食に対して保守的なところがある。男同士では、例えば「あそこに新しいエチオピア料理ができたから行こうよ」となることは少ない。

13カ国目となるインドに進出するココイチ。ロシアへの出店も検討している(撮影:梅谷秀司)

一方で、女性は「あそこに変わったレストランができたから行ってみよう」となる傾向にある。そこに気づいて、1号店から9カ月後に開店した2号店は、女性客にとって魅力的な店にした。1号店は中国人デザイナーに発注してコストを安くしたが、2号店は日本人のデザイナーに依頼して、「カップルがデートに使えるカフェレストランのようなデザインにしてくれ」と。

メニューも工夫した。カツの載ったカレーはビジュアル的に暗いので、オムレツカレーを作って、黄色が真ん中に入るようにして明るくした。ホワイトソースやチキン、きのこが好きな女性は多いので、きのこクリームソース、チキンクリームソースなどのメニューを作った。

すると、2号店は開店初日からお客がびっくりするくらい来て、それを見た上海のメディアから取材依頼が来て、現地のテレビに出させてもらった。その直後の3号店も同様で、それにつられるように1号店にもお客が来るようになった。

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