その後しばらくこの数字は顧みられず、ほこりをかぶっていたのだが、2012年第2次安倍内閣では「女性が輝く社会」が目標として掲げられ、2020年までに女性管理職を30%にすると打ち出した。しかし現在も日本の女性管理職は30%ならぬ13%にとどまっており、政府も2020年に30%とはあまり声高に言わなくなってきた。
なぜ、なかなか女性管理職が増えないか。長時間労働、性別役割分担の根深さなど、できない理由はたくさんあげられるが、必要なのは変えるための意志である。30%クラブはそう意思表明した企業の集まりである。
取締役に女性がいるか、いないか、複数いるかどうかで企業業績が変わるという数字も内閣府や、産業経済研究所などいろいろなところから出ている。
それでも発足準備の中で目立ったのは、日本企業の及び腰である。多くの企業が、「とても達成する自信がないから加入するのは気が引ける」「なぜ女性を登用するのか、関係者に説得する明確なエビデンスがない」「自分のところだけ突出するのはいかがなものか」などなどの理由で、30%クラブジャパンへの参加を見送った。
日本企業トップの参加は3社という事実
7月17日のお披露目会も、加入する日本企業のうちトップご自身が参加されたのは3社だけ、あとは代理出席である。それに引き換え外資系の企業の多くはトップ自らが出席し、女性登用に向けての熱い意気込みを述べた。もちろん代理出席でも参加を見送った企業に比べれば、参加した企業はずっと先進的である。
改めて日本は特別であり、いくら世界で女性が活躍していてもそれは別世界の話、という常識がまだ通用しているのだと痛感させられた。
同様なことを地方議員の集まりでも感じた。2018年に「政治分野における男女共同参画推進法」が成立し、候補者をできるだけ男女均等にと努力することが求められているが、参議院選挙でも女性候補者は28%、当選者に占める割合は22%、いずれも史上最高というものの均等には程遠い。私が出席した集まりでも男性議員が圧倒的に多く、自分たちのライバルになるかもしれない女性議員増大に対する冷ややかさをそこはかとなく感じた。
それでも『日はまた沈む』で有名な英『エコノミスト』誌元編集長のビル・エモットさんは近著『日本の未来は女性が決める!』の中で、「経済も政治も変わる必要がある、その起爆剤となるのが女性だ」と強調されている(その提案の中には女子大の廃止というのがあって、それには私は反論しなければならないのだが)。
人口減、高齢化の進む中で女性が社会の支え手にならなければならないという方向には誰も反対しない。筋肉を使う仕事より、人を支え頭を使う仕事が増えることにも誰も異論はない。しかし意欲と能力のある女性が責任のある地位に就くのが当然と考える人はまだまだ少ないことを痛感することもまた多い。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら