エマニュエル:「文学の旅」という、有名な作家にゆかりのある場所、例えば生家や住んでいた場所、美術館や資料館などを解説付きでグループで旅行をするのもある。もちろん作家だけでなく、画家や音楽家などいろんな芸術家を対象としたものもあって、これは芸術の発展と普及に貢献しているといえる。
くみ:日本でよく目にするのは「フランスの世界遺産を巡るツアー」とかかな。あるいは「ピカソをたどる3都市ツアー」とかありそう。一時期よりは減ったのだろうけれど、日本人は団体で行動するツアー旅行にあまり抵抗がなさそうだから、そういうのも言葉がわかれば参加したいって人はいそう。
日本とフランスの決定的な違い
エマニュエル:エコロジーなバカンスの過ごし方として、農場に宿泊して農場の仕事の体験や新鮮な農作物を味わったりと、都市で過ごすのとはまったく違う過ごし方を体験できるというのもある。
くみ:これも日本にもあるよね。エコツーリズムや農泊体験なんてことも聞いたことある。期間や内容、環境が少し違うかもしれないけれど、結局バカンスの内容としては日本もフランスもそんなに変わらないのかもね。
エマニュエル:このエコロジータイプのバカンスにはいろんな種類があって、例えばタラソテラピーや温泉、スポーツをして過ごすというのもある。
くみ:そうだよね。内容は同じだと思って聞いてても、2週間滞在できるっていう長さが、まだ日本では得がたいかもね。
エマニュエル:前回話した「日本とフランス『稼ぐ女性の服装』はかなり違う」でも同じような話をしたけれど、バカンスの話で言うと、フランスはまず国内で観光産業が十分に発展し、これに伴って国内規模の大企業ができた。海外では同様の産業が十分に発展していないこともあって、こうした企業は簡単に海外進出できたというわけだ。
GDPに関していうと、国民が働かない日数による損失が、国民がバカンスに出かけることによって発展した観光産業の利益によって補われたと考えることができるかもしれないね。だから、さっきのフォンテーヌの寓話だと、セミが夏の間歌っていた歌が人気になって冬を過ごすのに十分なお金を集めたのでアリに助けを求めなくても済んだって感じかな。