くみ:なるほどね! 考えてみれば当然の仕組みなのに、今まで気づかなかった! 日本でも、8月の子供達の夏休みやとくにお盆の時期はハイシーズンになって航空券もホテル代も何もかも高いイメージがもともとあったから、とくにフランスでバカンス期間のハイシーズンに物価が高くても当たり前だと思って、そこの利益の仕組みを考えてなかった。
言ってみれば、日本中が帰省ラッシュで混み合うお盆1週間が、フランスでは少し緩和されつつも約1カ月にわたって続く、と考えればわかりやすいかな。その期間中、レジャー関連業界はつねにハイシーズンで潤っているというわけね。
ドイツはなぜ観光客が少ない?
エマニュエル:第二次世界大戦後に、次第にヨーロッパの各国でも長期のバカンスが取り入られるようになってくると、どうなったと思う?
ヨーロッパ各地の新たな観光客は自国ではなく、すでに観光産業が発展してたくさんの観光客の受け入れ態勢ができているフランスを訪れるようになったんだ。他国よりも一足先に観光産業が発展していたことがフランスにとっては大きな経済効果となったわけだ。働かない日々の「遅れ」から生まれた「進歩」はまだ終わってない。フランスは現在でも観光客の多い国の1つだからね。
くみは、どうしてドイツは観光客が少ないんだろうって不思議に思ったことはない? ドイツだってフランスに劣らないくらい綺麗な景色や街並みがあるし、有名な詩人ヘルダーリンの詩を読めばドイツがどれだけすばらしい国かよくわかるよ。観光客は国の景色の綺麗さとはあまり関係していないということなのかな?
くみ:ドイツもそうだし、スペインへ行ったときなども同じことを思った。フランスの有名な観光地にも見劣りしない風光明媚な場所がたくさんあるのに、その土地に関する日本語の情報はネット上でまったく出てこないとかね。その点、フランスは持っているものを世界にアピールして、世界中から観光客を集めてる。うまいな、と改めて思った。
日本も観光立国などと頑張っているし、パリの街中でも日本旅行の宣伝を目にすることは珍しくないよね。実際、日本は大人気の旅行先の1つだけど、もっとさまざまな魅力をアピールしてもいいんじゃないかなと思う。