独特の切り口で、あたらしい時代のクリエーティブを目指す彼は、会社の人材交流プロジェクトによって、突然、電通インド支社で3カ月働くことに。現地から、人、仕事、遊び事情を、ライブ感たっぷりでお届けするインド滞在記。
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宗教闘争が原因で住むエリアが分断
コマーシャルゾーン(商業地区)をひととおり見終わると、
川を渡ってレジデンスゾーン(居住地区)へ向かった。
川は濁った緑色で、炭酸ガスが中から吹き出している。
この水は、そのままアラビア海に流れ出るはず。
当然、ムンバイのビーチで泳いでいる人など見たことがない。
レジデンスゾーンに入ると、ガイドが説明を始めた。
ムスリムとヒンドゥーの人たちは住んでいるエリアが分かれている。
それは1992年12月に起こった北インドのモスク襲撃による全国
各地に広がった宗教闘争が原因で、ここダラビでも約900人が
死亡する大事件となった。これを機に住処が分かれてしまったが、
時が経った今、両宗教はみな平和に共存している。
その証拠に、とガイドが指した先には、ヒンドゥーの像があった。
このムスリムのレジデンスゾーンで生産されているというのだ。
ホテルの余った石けんを固めてブラックソープに
細く、暗い路地を進むと、茶色い塊を大量に置く家に通された。
ここでムンバイのチョコレートを作っている、と言うガイド。
え?! これを食べるわけ?と驚くと、冗談だよと笑われてしまった。
なにがどこまで冗談なのか、ここじゃわかんないよ……。
本当は、この茶色い塊はブラックソープと言われていて、
ホテルなどの余り石けんを溶かして、もう一度固めたものらしい。
カラダに使うには酸が強すぎるため、スプーンや皿を洗う洗剤
として売られるという。
チョコレートはウソだが、食べ物が作られていないわけでもない。
ムンバイの人々の朝ご飯として有名なビスケットなどは、こういった
スラムで作られている。生地をこねて、釜で焼き、簡易パックされる。
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