最後にマーケットゾーン(市場地区)へ行った。
商店街のような場所で、両サイドに店が並び、人々が行き交う。
砂ボコリが舞い、笑い声が聞こえ、活気にあふれていた。
REALITYの事務所は、そんなマーケットゾーンの終わりにあった。
そこでぼくは簡単なアンケートに答え、ツアー料金を支払った。
しばらく扇風機の風にあたりながら、無料で提供されたソーダを飲む。
ここには生活があり、歴史があり、そして笑顔があった。
数時間前には、ひとつも想像してなかったことだ。
ビッグビジネスになるスラムは変わらない?
もうすぐインドでは、総選挙が始まる。
インドの未来を決める、一大イベントである。
では、その後、スラム街は変わるだろうか。
街で見かける小さな店の数々、荷物を運ぶ人々、クリーニング屋、
ブックバインディング、ステーショナリーメイキング、ティーストア、
ハウスキーピング、大工、電気工、ゼロに限りなく近い低賃金で働き、
一人ひとりは少ないが合計すれば巨額の納税をする彼ら。
視点を変えたとき、スラムがビッグビジネスになっているとしたら、
このシステムを、誰が変えようとするだろうか。
ソーダを飲み干すと、ぼくはダラビの出口へ向かった。
子どもたちの笑顔は胸に刺さったままで、振り返ることはできなかった。
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