三菱系建機会社を勤め上げ起業した76歳の胆力 油圧ショベルから「竹林」に商機を見出した

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現役時代にやっていた商売をきっかけに、リタイア後の稼ぎ方を見つけた男の脱サラストーリーとは?(写真:kou/PIXTA)
人生一度きり。定年までいまの会社にしがみついたままでいいのか。ノルマに追われ、上司と部下の人間関係に悩み、リストラにおびえるくらいなら、自分の好きなことをしたほうがいいのではないか――。
『さらば! サラリーマン 脱サラ40人の成功例』(元記事は月刊誌『ウェッジ』の連載)から、三菱系建機会社定年後に竹林ビジネスで起業した佐野孝志さんの脱サラストーリーを紹介しよう。

佐野孝志さんは今76歳だが、気宇壮大な仕事を進めている。

日本の山野で荒れ狂う竹林を有効活用するため、竹粉製造機を開発・製造し、電子顕微鏡下で竹粉を観察・分析したうえ、土壌改良、飼料、食品、化粧品、バイオマスプラスチックなどに活用するため、何回も実用化試験を繰り返し、すでに一部は製品化している。およそ竹に関するかぎり、原料の入手・加工から製品化・販売に至るまで、全分野の研究開発を同時並行的に進めているのだ。

「82歳まで現役」という佐野さんの人生観

勤めを辞めたのが62歳のとき。直ちに兼ねてから目をつけていた竹に取り組んだ。佐野さんの考えでは、起業から20年後の82歳まで現役として竹の事業化に取り組み、そのときまでに仕事に目鼻をつける。82歳で次世代に経営を譲って引退。さらに20年後の102歳まで生きて、悠々と老後の生活を楽しむという構想を持つ。

驚くべき計画だが、考えれば現在、身体が頑健な人は平気で寿命100歳を超える。102歳は絵空事ではなく、現実性が高い。しかし、自分の寿命だけは誰にもわからない。がんや心臓病という伏兵がいつ飛び出してくるか知れたものではない。高齢者の多くは薄氷を踏む思いで毎日を過ごしているはずだが、佐野さんは自分の寿命を将来設計に組み込んで泰然としている。不敵すぎる胆力というべきだろう。

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