人気と不安が背中合わせ「テスラ」の複雑な現状 カギを握る第2四半期決算はどうなるか
アメリカの電気自動車(EV)大手テスラのセダン「モデル3」は今年、消費者団体専門誌「コンシューマー・リポート」で最も満足度の高い自動車と評価された。その後、モデル3の所有者らから、納車時に窓ガラスのひび割れや水漏れ、ディスプレーの不具合があったという苦情が上がり始めた。テスラは一部の地域で、納車前の車体の傷や塗装の不備の修理を外部の自動車修理工場に頼っていた。
カリフォルニア州のサクラメント近郊のロックリンにある自動車修理工場クニーゼルズ・コリジョンは、近くにあるテスラの納車センターから販売前の車両の補修を請け負っている。「輸送の際に塗装が傷つくことがある」と、同社のジャスティン・クニーゼル事業担当部長は言う。「工場で生じた問題の場合もある」。
自動運転技術にも新たな疑問
テスラは、この数カ月に設計と生産の改良を行い、品質の問題は大幅に減少したと主張している。しかし、同社とイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、もっと根本的な問題を抱えている。
テスラは最近、高級セダン「モデルS」と多目的スポーツ車(SUV)「モデルX」の需要が減速していることを受け、両モデルの価格を引き下げた。同社の自動運転技術についても新たな疑問が生じている。
テスラの熱烈な支持者の一部も悲観し始めている。規制当局への報告書によると、かつてテスラの最大の株主の1つだった運用会社ティー・ロウ・プライスは、今年第1四半期に保有していたテスラ株の80%を売却した。
テスラ株は6月はじめに3年来の安値をつけたが、ネットで発表された2件のリポートによって、マスクが5月に従業員宛てのメールで言及したような第2四半期での販売回復への期待が高まり、持ち直した。だがそれでもなお、テスラ株は年初来約30%以上下落している。