ハーバードで聞いてみた「デキる子の共通点」 成績優秀者の親が実践する「子育ての公式」

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彼ら一人ひとりに長時間のインタビューを行い、事前に用意した質問を投げかけて、子ども時代の思い出と両親が果たした役割を探った。

録音データは次第に増え、参加者の幼少期の記憶と優秀な成績を収めるまでの道のりをたどった膨大な物語の記録が出来上がった。

ロンは、アシスタントに頼んでデータを入力し一定のパターンを見つけようとした。けれど、データが複雑なため分析に専念できるスタッフが必要だという話になり、プロジェクトはいったんお蔵入りした。

親の学歴、お金、コネはいっさい関係なし

2014年、ターシャは再びロンに電話をかけ、優秀な子をつくる子育ての公式をテーマに本を書きたいと相談した。ロンも、公式の存在を信じていたが、それがどんなものかわかっていなかった。そこで「ハーバード大学育ち方プロジェクト」のデータを使って、一緒に本を書かないかともちかけた。

仮説を立て実験するのではなく、一流の人の人生を振り返る形で調査を行い、ジャーナリスティックなアプローチを取り入れることにした。調査を進めると、信念のある子育ての背景に親自身の体験があるとわかった。そこで、途中からは親の人生も調べることにした。

学生の名前を伏せた録音データを、ターシャが何カ月も聞いて分析した。それからロンと2人で、ハーバード大学の学生の育てられ方と、ターシャが過去にインタビューしたハーバード大学以外の一流人の育てられ方を比較すると、子育ての公式が見えてきた。

過去の研究から、社会階層の違いや貧富の差により、子育てに差がでることが知られている。そのため私たちは、文化によって子育てのパターンは異なり、それぞれの家庭の背景に応じた育児法、価値観、ノウハウが明らかになると予想していた。

ところが、そうではなかった。例えば、アジア式の子育て、あるいはアメリカ式の子育てが格段に優れているといったことはなかった。

むしろ、親の人種、地位、財産、教育水準、宗教、国籍に関係なく、子どもの将来の成功につながる驚くほど一貫した共通点があった。

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