内定辞退にまつわる企業のコメントから具体的な事例を紹介しよう。まず連絡が取れない「蒸発」の事例だ。
「一時的に連絡が取れなくなり、連絡が取れた時には内定辞退の連絡であったこと」(メーカー・301~1000人)
どん詰まりでの内定辞退もある。
「入社1カ月を切った(3月末)ところで、こちらからの入社日の再確認の電話で辞退を告げられた」(商社・流通・301~1000人)
大学の企業に対する礼儀も薄れているらしい。企業からの「学生と連絡が取れない」という問い合わせに対し、次の通り、大学が「本人には言ってある」という返答では大人の応対とはいえない。
「本人からの意思決定の連絡が一切無く、再三再四の電話・メール連絡にも折り返しの連絡がなかった。大学に問い合わせても『本人には言ってありますけどね』と取り付く島もない」(サービス・1001人以上)
大学の入学式や卒業式に、両親や場合によっては祖父母も出席するそうだが、親離れしていない学生も多いようだ。今回のアンケートでは、母親から辞退の連絡を受けたというコメントがあったが、就活中の日程の問い合わせや落ちた理由を聞くために電話してくる母親は珍しくないそうだ。
「『親が(当社への)就職に反対して、院進学を勧めたので辞退したい』という学生がいた。結果としてそのような主体性のない人物を採用せずに済んでよかった」(マスコミ・コンサル・300人以下)
「お母さんからの電話と手紙での辞退がありました」(メーカー・301~1000人)
企業が好感を持つ内定辞退
すべての内定辞退を企業が嫌うわけではない。ウソがなく誠意のある学生に対しては、たとえ自社の内定を辞退されても、好感を抱く。これは学生の内定辞退に限らず、取引先との関係でも成り立つ公式かもしれない。
「夢であったNHKのアナウンサーに合格したので辞退しますと言われた時は、業界もまったく違うので、社長も含めて全員で純粋に応援した」(メーカー・300人以下)
「電話で、丁寧な連絡があった。どの業界でどんな仕事なのか、誠実に吐露してくれた」(情報・通信・300人以下)
内定辞退されてもその学生に好感を持つのは、その辞退の仕方によって自社が評価した通りの人材だったことがわかったからだろう。そういう学生だから欲しいが、そういう学生なら他業界、他企業に行っても応援したいと考えるのは、人の心理として当然だと思う。
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