「ショップチャンネル」が20年連続成長した理由 2950万世帯に広がるテレビ通販王者の強さ

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実際、ショップチャンネルの顧客層は87%が女性で、年齢層も8割が50代以上と特定層に集中している。「コアな2割の客が売上全体の8割を占める構造」(ショップチャンネル関係者)で、新規顧客が減少するなかショップチャンネルを支えるファン層の飽きは持続的な成長への致命傷となりかねない。

新規顧客との接点を開拓するため、インターネットサイトなどECを強化するという手段も考えられるが、安易な販売チャネルの拡大は仕入れ値を抑えられるなどテレビ通販という強みとしているビジネスモデルを崩すことにもなりかねない。

「心おどる、瞬間」への原点回帰

ただ、新森社長は「無理に成長をさせようとしても破綻する。考えられる原因に対する対策を一つひとつこなして、効果を確かめていく」と慎重に対応する姿勢だ。「今年度は原点回帰の年にして無理な計画は立てない」(同)。

同社は「原点回帰」として会社の理念でもある「心おどる、瞬間を」実現するとする。具体的には新製品を取り上げる頻度を改善することや、ファッションなど流行が変わりやすいものの、女性から人気が高い商品を強化していく。

ジュピターショップチャンネルの新森健之社長は「商品力を向上させる」と話す(撮影:梅谷秀司)

また地上波でのテレビCMや新聞広告を強化して、認知度を向上させて新規顧客の獲得も強化する。「実は毎月新規のお客様はいるが、テレビ通販を視聴する習慣づけにはなかなか至らなかった。あまり興味がなかったお客様にも2度目、3度目とショップチャンネルで買ってもらう習慣をつけてコアな客層になってもらうために、商品力を向上させる」(新森社長)。

すでに4~6月の第1四半期で「対応策の効果が出始めている」(新森社長)との実感も出ている。番組構成など過去20年で培ってきた技術や約900名のオペレーターがいる自前のコールセンターなど簡単には真似されないノウハウも多く、参入障壁は高い。

新森社長は「2020年度、2021年度は一気に回復していくはずだ」と意気込む。拡大するECと競合せずにテレビ通販のパイを広げられるのか。2019年度に再び増収に転じて成長軌道に戻れるかが1つの試金石となりそうだ。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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