選考していて感じた「今の就活生」4つの共通点 終身雇用崩壊、人生100年時代が前提の就職観

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いいことが書いてあっても、それは企業が意図的に好意的な記事を書かせている場合もあるため、その信憑性については多少疑問符がつくところもあります。しかし、それを踏まえたうえでも、企業の大まかな特性を知ることができ、十分参考にできると思います。

もし、書かれている情報でどうしても気になることがあれば、直接聞いてみるのもいいでしょう。その質問に対する企業側の反応を見て、判断できる部分もあります。それを聞くと選考で落とされるリスクを懸念するのであれば、内定を取ってから聞くという手もあります。

自分が信頼できる先輩や社会人の知り合いがいれば、その人から直接、業界や仕事のことを聞いてみることをお勧めします。就活の選考で会う企業の人は、自社のアピールをする立場なので、自社を悪く言うことはあまりありません。本音を引き出すには、選考とは関係のない会社の人から、情報を得ることもお勧めします。

「自分が認められたい」と思う学生が多い

企業側は、人からの口コミの影響が、ますます強くなっていくことを前提に、自社社員の従業員満足度を高めることはもちろん、仕事や取引などを通じ関わった人たちから、「あの企業はすばらしい」と言われるくらいの企業になっていくことが、採用力を高めるためには必要でしょう。そのような流れに対応できない企業は、学生からも、お客様からも必要とされなくなり、淘汰されてしまうかもしれません。

企業側は、いくら外見をよく見せても、中身が伴わなければ見破られる傾向が強まっているという自覚をもち、採用力を高めるには、中身をしっかり創り上げ、その中身を学生に対しアピールしていくことが、より重要になると感じています。

4. 「自分だからこその価値」を創りたがっている学生が増えている

今年の採用活動で私自身がいちばんよく聞いた言葉は、「〇〇さんだから、この仕事を任せたいと言われる人になりたい」という言葉でした。「自分ならではの価値を創りたい。だからこそ、成長できる環境があるかどうかを大切にしている」という学生によく出会いました。

若いうちの転職や独立が前提で、短期間で能力を身に付けられ、早くから何でも任せてもらえる環境を求める学生もいれば、力をつけながらもできる限り同じ企業で働き続けることを希望し、万が一その企業に何かあったとき、転職で苦労しないようにしたいと考える学生もいます。最終的な目的は学生によって違うものの、成長して一生食べていけるような能力を身に付けたいという志向の学生が、本当に多かったと思っています。

これは、「自分が認められたい」という、承認欲求が高い学生が多かったことも理由の1つだと思います。しかしそれ以上に、終身雇用制度崩壊の流れに加えて「人生100年時代」に伴う定年延長の流れをきちんと捉え、企業の力に依存しなくても、長く稼ぎ続けていく力を身に付けたいという学生が増えている結果だと思っています。

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