ニトリ「配達スキル」が身につくトラックの正体 7月に訓練車研修スタート、離職防止の効果も
そのホームロジスティクスの物流拠点である川崎DC(神奈川県川崎市)で6月、1台の大型トラックがお披露目された。一見、普通のトラックに見えるが、実は車内に一般家屋の洋室や階段、廊下が再現された、特注の「移動型納品訓練車」だ。ボタンを操作すると、およそ5分でトラックの左右と上部が拡幅。車内に入ると、まるで配送先の住宅の室内にいるような状態で大型家具の搬送・組み立てを実践することができる。
ホームロジスティクスでは、「セールスマン」と呼ばれる配達員が基本的に2人体制で商品を配送する。室内に入り込んで作業するため、接客スキルとともに、商品の搬送・組み立ての過程で床や壁に傷をつけることがないよう、高度な技術を要する。
技術力を担保するため同社では、全国に約2000人いる配達員のうち年間約400人に対し、川崎と大阪・茨木にある施設で納品作業の研修を行ってきた。
2~3年に1回の研修が可能に
配達員を抱える全国のパートナー会社からは「研修を受ける機会を増やしてほしい」という声があったが、施設が2カ所に限られているため、配達員が施設まで赴く費用や時間の負担が大きかった。
訓練車を導入した理由についてホームロジスティクスの五十嵐明生社長は「訓練の機会を増やすには、どこかに施設をもう1つ作るよりも、私どものほうから全国各地に伺う形のほうがいいと考えた」と振り返る。
訓練車の車内には、一般家屋用の壁紙や床材を使用。傷をつけないための養生の施し方から階段での商品の上げ下げ、さらに商品を2階から吊り上げて搬入する作業まで訓練することができる。
7月以降、ホームロジスティクスの社員が交代で運転して全国の拠点を回り、各地域の配達員に研修を実施する予定。訓練車の導入により研修機会の拡大が見込まれ、「(配達員一人ひとりが)2~3年に1回は研修を受けていただけるようになる」(五十嵐社長)。
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