日本の職場から「雑談」がなくなるのは危ない

社員な幸せな会社は業績がいいという事実

日本の職場におけるコミュニケーションの重要性とは(写真:マハロ/PIXTA)
幸せに生きるための考え方や行動を「科学的」に検証し、実践に生かすための学問が、幸福学。幸福度の高い人はそうでない人に比べ、創造性は3倍、生産性は31%、売り上げは37%高いという研究結果もあり、社員と会社の幸福度は比例する。『幸せな職場の経営学』を書いた慶応大学大学院前野隆司教授に詳しく聞いた。

「ハピネス」ではなく「ウェルビーイング」

──なぜ、ロボットエンジニアが幸福学の提唱者に?

20年くらい前から、人間がロボットを見たときにどう感じるか、といった人間と人工物との触れ合いについて工学と心理学を用いた研究をしていました。心理学には、ウェルビーイングスタディー(幸福学)という分野があり、さらに医学でも健康と幸せに関する研究がなされていた。利他的な人は幸せだとか長寿だとかいった研究成果を知って、もったいないと思ったのです。こんなにすばらしい知見があるなら、それをものづくり、サービスづくり、組織づくり、町づくりなどに応用すべきだと考えたわけです。

──英語で「幸せ」というと「ハピネス」が思い浮かびます。

イギリスの心理学者、ネトルは、地位財による幸せは長続きせず、非地位財による幸せは持続すると言っていて、その意味からすると、ハピネスは短期的な感情から生まれる幸せの英訳と考えるべきでしょう。私のテーマは持続する幸せなのでウェルビーイングです。

──昇進してハッピー、という感じですね。地位財、非地位財とは。

アメリカの経済学者、フランクは、他者との比較優位で価値が生まれる財を地位財、それだけで価値がある財を非地位財と分類しました。前者は社会的地位やモノ、後者は愛情、自由、健康が挙げられます。

──用語は知らなくても、言われれば当たり前という気もします。

外部の研究会や勉強会、あるいは企業の研修などに呼ばれ、経営層から現場まで幅広い層の人と接しているが、こういう話が腑に落ちるのは社会問題に関心のある5〜10%の人というのが皮膚感覚。高度成長以前を知っている世代は、モノや金があってこその幸せという意識がいまだに根強い。逆に若い世代は、非地位財の重要性、そんなの当然でしょう、という反応。

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