前述の「一般的に転職が難しくなるデメリット」でも触れているが、逆に自身の社会人としての課題を早めに把握できるというメリットもある。
働きながらでも自身の課題を知ることができると思う。しかし、転職活動を通じて企業や他人から客観的に評価されることで、自分ではできていると思っていることが、できていなかったと知ることができる。
とくに、自分の課題に向き合うことが苦手だったり、他人からの批判を避けてきたタイプの人には、この短期離職によって得られる「自分の課題に向き合う機会」は、非常に価値が高い。
その人にとって人生単位で先送りにしていた課題と向き合うことが求められるケースもあり、苦しみながらも乗り越えた時には一皮むけた印象を受ける。
「知識がない状態で選んだ会社」を辞めるのは当然
このように、新卒入社の3年離職にもプラス要素があることを説明した。しかし、社会や企業からの目線が変わらないのであれば、3年離職は「悪」だと言われるだろう。
終身雇用という仕組みはすでに機能不全に陥っており、これからの時代は何度も仕事を変えながら、自分らしく、自分にとってメリットが出るようにキャリア形成をしていく必要がある。
しかし、大学では相変わらず専門教育が中心となっており、キャリアや仕事について学び、体験する機会が十分に提供されているとは言いがたい。就活の時期になり、キャリアセンターに通ったとしても、面接ノウハウやビジネスマナーは教えてくれるが、もっと根本となるキャリア設計の例や、業界・職業の情報を幅広く収集する機会はまだまだ少ない。
そのような状況を踏まえると、仕事や自身のキャリアに対して知識が乏しい新卒が、会社を辞めるということは、むしろ当然なのではないだろうか。
例えるなら、今の就活は江戸時代の結婚のような仕組みだ。まだ誰とも付き合ったことがない子どもにいきなり結婚相手を選ばせ、離婚したら「出戻り」のレッテルを貼るようなものだ。
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