来春から「パワハラ対策」が義務化される背景 G7の中では日本だけが後れを取っている

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今回の法制化(労働施策総合推進法の改正)により、職場におけるパワハラとは、次の3つの要素をすべて満たすものとされます。

1.  優越的な関係を背景とした
2.  業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
3.  就業環境を害すること(身体的もしくは精神的な苦痛を与えること)

ここでいう「職場」とは、業務を遂行する場所を指しますが、通常就業している場所以外であっても、業務を遂行する場所については職場に含むものと考えます。

パワハラといえば、上司が部下に対して行うこと、つまり、職務上の地位が上位の者による行為というイメージが強いですが、そうばかりとは限りません。「優越的な関係」とは、業務上必要な知識や豊富な経験を有していて、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難なような場合も含まれます。

例えば、部下がこれまでの豊富な経験を背景に、赴任してきた現場に不慣れな上司に対してパワハラを行うことなども考えられます。

法制化のポイント

法制化によって、職場におけるパワハラ防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主に義務づけられました。雇用管理上の措置としては、事業主によるパワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発、苦情などに対する相談体制の整備、被害を受けた労働者へのケアや再発防止などが挙げられます。現行のセクハラ防止の措置義務の内容を踏まえ、今後さらに検討されることになります。

また、パワハラに関する紛争が生じた場合には、調停など個別紛争解決援助の申出が行えるようになります。事業主には、被害を相談した労働者の解雇など不利益な取り扱いは禁止されます。

パワハラに関して、適切な措置が講じられない場合は是正指導の対象となります。しかし、経済界の強い反発もあり、罰則を伴う禁止規定は見送られました。ただし、悪質な場合は企業名の公表ができる規定が設けられています。

これまでパワハラ防止対策については、企業の自主的な対応に委ねられてきました。法制化によって、抑止力が働くことは間違いないでしょう。ただ、どこまでが許容され、どこからがパワハラといえるのか、業界によってもこれまでの慣行・やり方に大きな違いがみられるため、一概に線引きすることは容易ではありません。

こうしたことも踏まえ、今後の指針においてパワハラ行為の具体例や判断基準などが示されることになっています。

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