共働き世帯の台頭で激変する住宅の販売現場 時短・効率重視でVRやARを活用した営業も増

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背景として、顧客側と事業者側それぞれが抱える事情がある。まず、顧客側についてだが、需要の中心となる20代、30代の多くが共働き世帯になっているということがある。

内閣府男女共同参画局がまとめた『男女共同参画白書 平成30年版』によると、2017年は共働き世帯が1188万世帯、夫のみが働く世帯が641万世帯だった。この事実が表すのは、夫婦がそれぞれに仕事を持ち、子育てもこなすなど、大変忙しい生活をしている世帯が多いということだ。

このことは住宅取得に大きく影響する。一生に一度の高価な買い物とはいえ、顧客はじっくり検討をしていられない。その結果、住宅事業者はできるだけスムーズに住宅取得ができる仕組みを作る必要があるのだ。

20~30代が使いやすい仕組み

もう1つの顧客側の事情は、20代、30代が「デジタルネイティブ」である点だ。誕生時、あるいは物心がついた頃からインターネット環境が普及し、その恩恵を享受してきた世代のことをそう表現する。

インターネットを駆使することにより、質の高いモノを極力時間をかけずに手に入れたいという考えを持つ人が多い。例えば、現在のネット通販の隆盛は彼らの思考や行動の仕方が反映されたものだと言ってもいいだろう。

そのため、住宅取得、とくに注文住宅のように、何度も打ち合わせを重ね、時間がかなり取られるようなプロセスを経ることも、できれば避けてよりスムーズに住宅取得ができるなら、そちらを優先したいと考えるだろう。

今の20~30代が住宅取得の主役に台頭したことで、彼らに対応した、ストレスを感じさせにくい仕組みが強く求められており、そんな経緯で旭化成ホームズの新商品が登場した。

「セキスイハイムミュージアム仙台」に導入されたVR設備の様子(筆者撮影)

営業現場の様子も変貌しようとしている。その事例の1つが、セキスイハイム(積水化学工業住宅カンパニー)が4月、仙台駅に隣接する商業ビル内にオープンした「セキスイハイムミュージアム仙台」である。

これは、住まいに関する各種展示のほか、VR(バーチャルリアリティ=仮想現実)やAR(オーグメンテッドリアリティ=拡張現実)、プロジェクションマッピングなどを駆使した最新設備が設けられた体感型ショールームだ。

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