箱根の美術館がゴッホの「裏面」にこだわるワケ アクリル板を使った斬新すぎる名画の展示
「この絵を描いた時期は、アルルでゴーギャンとともに芸術家の理想郷を作ろうと夢見ていた、いわばゴッホの人生で最も希望に満ちていた時代だ。
また、浮世絵などを通じて日本に憧れたゴッホは、日本に行けない代わりに、陽光に満ちた南仏のアルルにやってきた。そうした気持ちの高ぶりが、明るい色の下地に表れている」(岩﨑氏)という。
亡くなる直前まで絵に対する情熱を持っていた
さらに、その隣に飾られている「アザミの花」(ポーラ美術館蔵)は、ゴッホがピストル自殺を遂げるおよそ1カ月前に描いた作品だ。とくに新たな発見というわけではないが、岩﨑氏は、花びらの部分の盛り上がるような立体的な筆遣いをよく見てほしいと言う。
「太い筆と細い筆を併用して立体感を出している。こうした筆遣いは、ほかではあまり見られない。亡くなる1カ月前であるにもかかわらず、直前まで絵画制作に対する向上心や対象に迫りたいという気持ちを持って絵を描いているのがわかる。描いた絵を見るかぎり、絵画に対する真摯な態度は、最後の最後までずっと変わらず持っていたのだと思う」(岩﨑氏)
今回の企画展はモネやルノワールなど、印象派の人気作品が展示されているだけでなく、ポーラ美術館とひろしま美術館の類似したコレクション作品を並べて展示するなど、さまざまな趣向が凝らされている。また、一部の作品は写真撮影が許可されているのも、日本では珍しい。
ポーラ美術館は、周囲の森に遊歩道が整備されているほか、近隣には梅雨時に最も多くの植物が見頃を迎える箱根湿生花園などもある。絵画好きの人に限らず、この時期に足を運んでみることをおすすめする。
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