サブスク急拡大の理由は「ユーザー有利」にあり リカーリングマップで俯瞰するサブスク支持

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まず注目してほしいのは、斜め上に伸びる線上に分布する、リピーター、レーザーブレイド、リースです。これらはリカーリングという言葉のなかった時代から存在する収益化モデルなので、便宜上、「旧来型のリカーリング」と呼びます。長きにわたり存在し続ける理由は、企業にとっての利益とユーザーの利便性のバランスが取れたところにあるからです。このリカーリングバランスの線上より上にあると「企業有利」に、下にあると「ユーザー有利」の収益化モデルといえます。

それぞれの収益化モデルの特徴を確認し、サブスクリプションと比べてみます。

サブスクリプション、フリーミアムなど、すべての継続収益モデルを体系化したリカーリングマップ(著者作成)

リピーターとサブスクリプション

その企業の商品を何度も買ってくれるリピーターモデルは、「継続の拘束力」が一切ない意味では厳密には売り切りモデルですが、収益が継続するリカーリング要素を持っているので、リカーリングの一形態とします。

川上昌直(かわかみ まさなお)/兵庫県立大学国際商経学部教授、博士(経営学)。1974年大阪府生まれ。福島大学経済学部准教授などを経て、2012年兵庫県立大学経営学部教授、学部再編により現職。「現場で使えるビジネスモデル」を体系づけ、実際の企業で「臨床」までを行う実践派の経営学者。専門はビジネスモデル、マネタイズ(撮影:宇佐美利明)

売り切りモデルでありながら、繰り返し特定企業のプロダクトやサービスを利用し続けてもらうには、企業はプロダクトのよさやブランド価値の高さを十分に認知させなければなりません。

リピーターは、基本的に販売時に利益回収を終えます。つまり、利益回収はただちに実行されますから、他のリカーリングモデルに比べて利益回収の時間は最も短いです。

サブスクリプションとリピーターを比べると、「継続の拘束力」においては、サブスクリプションのように利用登録する必要すらない、すなわち、拘束力がまったくないリピーターのほうが「ユーザー有利」です。ただしリピーターは、繰り返し買うかどうかは、100%ユーザーの自由意思に委ねられているので、1回買ったら終わりという「継続しない」リスクも潜んでいます。

「利益回収の時間」で見ると、サブスクリプションのほうが「ユーザー有利」です。販売と同時に利益回収を終えるリピーターよりも、毎月定額を支払うサブスクリプションのほうが、毎月の支払額を抑えることができるからです。

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