ペイペイ巨額還元に打ち勝つ「楽天ペイ」の野望 楽天ポイントの2500億円還元は持続可能か
キャッシュレス市場をきちんと攻めていく
――決済サービスの競争が激化している中で、楽天グループの強みはどこにあるのでしょうか?
楽天ポイントがわれわれグループの最大の武器だ。2018年は年間で2500億円分、これまでの累計では1.2兆円分以上のポイントを発行している。楽天カードだけでも、2018年の決済高は約7.5兆円にのぼった。つまりはその1%に当たる750億円分は当社の負担でユーザーにポイントの形で還元していることになる。世間では「100億円キャンペーン」が話題だが、当社の750億円というのはなかなかの規模だ。
楽天ポイントの使い勝手をさらに高めるために、これまでバラバラだった楽天の決済機能やポイントの機能などを3月18日から1つのアプリに集約する。このアプリ上では「楽天キャッシュ」という電子マネーで送金サービスも使えるようになり、利用者は楽天の決済にかかわる基本機能を全部使える。アプリの設定を行えば、店頭決済にも楽天キャッシュや楽天ポイントを優先的に使い、足りない分を登録したクレジットカードで払うスタイルにできる。
――4月1日に、楽天ペイメントという会社を新設します。
キャッシュレスの動きが、官民でこれだけ盛り上がってきていることが大きい。現在は2割程度にとどまる日本のキャッシュレス決済比率を日本政府は2025年まで4割へ引き上げようとしている。今回の組織編成は、キャッシュレス決済市場にある大きなホワイトスペース(伸び代)を、楽天としてきちんと攻めていくための体制を築こうという主旨だ。
楽天グループでは銀行、保険、証券といった(金融)事業を抱え、フィンテックグループカンパニーとして運営しているが、この中でスマホ決済は特に注力している分野だ。スマホ決済は、従来の金融サービスとネイチャー(性格)が違う面がある。現在行われているスマホ決済各社のサービス合戦を見ていると、単なる決済サービスだけではなくそこにマーケティング要素が入ったり利用者とのコミュニケーションが入ったりと、各社は付加価値を足していこうとしている。(売り切りに近い形の)従来の金融事業に対し、(サービス提供後も工夫が必要となる)スマホ決済を本腰入れてやるには、新会社でしっかり取り組む必要を感じている。
4月に発足する楽天ペイメントの従業員数は1000人弱。サービスは主に4つで、「楽天ペイ」と「楽天エディ」(電子マネー)、「楽天ポイントカード」(リアル店舗での買い物に利用できるポイントカード)、「楽天チェック」(リアル店舗への来店に対しポイントを付与するアプリ)が入る。今は「楽天カード」なども私が担当しているが、4月からは楽天ペイメントに専念する。
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