マイクロソフト、“戦略ミス”で思わぬ不振  5000人削減の過激リストラ

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好調アップルにはジョブズ問題の不穏

一方、ウィンテルの「古くて新しい」ライバル、アップルは好調だ。iPodの販売台数が過去最高を更新し、10~12月期は四半期で初めて売上高100億ドルを突破した。

ただし、大きな懸念もある。同社の「顔」であるスティーブ・ジョブズCEOの健康問題だ。過去にガンを患ったこともあり、昨年9月の発表会で“激やせ”した姿が臆測を呼んだ。例年、基調講演を務める年明けの「マックワールド」不参加を12月半ばに表明し、不安視する声はピークに。1月5日、ジョブズ氏は書簡で「ホルモンバランスの異常」が原因と明かしたうえで、治療をしながら「CEOを続ける」とした。だが、わずか9日後、健康問題が「予想よりも深刻だった」とあらためて公表。6月末まで休職し、その間はティム・クック最高執行責任者(COO)が日常の業務を取り仕切ることになった。

革新的な製品を次々と投入し、業績を伸ばし続けてきたアップル。最大の牽引役が、製品開発から販促、宣伝広告まで自ら細かく取り仕切っていたジョブズ氏だった。仮に引退となれば、「窮地に陥る可能性は高い」と『スティーブ・ジョブズ 偶像復活』の共同著者ジェフリー・ヤング氏は見る。個々の分野に長けた優秀な人材はいるが、「ジョブズ氏の能力に足る人物は社内にはいない」(同氏)からだ。社外からのトップ招聘もうわさされるが、ジョブズ氏を凌ぐ独創性やカリスマ性を持つ人物はなかなか見当たらない。療養期間が長期化するようだと、当然、アップルの先行き不安も高まる。

世界的不況が色濃くなる中、数限られてきた「成長企業」も盤石とは言い切れない事情を抱えている。

 

 

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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