マツキヨVSスギ!ココカラ争奪戦の複雑事情 ドラッグストアは新たな競争領域に突入する

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スギにとって、ココカラと経営統合するメリットは大きい。スギホールディングスの杉浦克典副社長は、同社に入社する前はジョンソン・エンド・ジョンソンで働いていた。その当時の上司がココカラの現在の役員だった縁もあり、スギはココカラと非公式に業界再編に関する話し合いを行ってきたという。

スギ薬局は、マツキヨHDと「ココカラ争奪戦」を繰り広げようとしている(撮影:今井康一)

スギは調剤薬局を併設したドラッグストア「スギ薬局」を展開。薬剤師を積極採用し、処方箋調剤や一般薬のカウンセリング販売も手がける。

スギが今後の業容拡大のカギになると考えているのが、ヘルスケア領域だ。国内の超高齢化社会を見据え、顧客の健康維持・予防から介護・終末期のケアまでを一貫してサポートする拠点作りを目指している。このスギの成長戦略に、ココカラが持つ強みは合致するというわけだ。

さらに、スギは関東のシェアが低いが、中部と関西エリアではシェアトップに立つ。一方、ココカラは関東や関西エリアを中心とする都市型店舗を得意としている。スギはこの都市型店舗の運営ノウハウを吸収することで、関東でのシェア拡大を狙える。

今後は大手ドラッグ同士の再編が起きる

マツキヨにとってもココカラと組むメリットは小さくない。マツキヨはココカラと同様に都市型店舗を得意としており、両社で店舗の競合が出てくる懸念もある。ただ、マツキヨは自社会員のデータに基づいた付加価値の高いプライベートブランド(PB)開発を強みとしており、ココカラとの経営統合はPBの販路拡大につながる。物流の共同化や調剤事業における医薬品の共同仕入れなど、複数の相乗効果も期待できる。

ドラックストア業界はこれまで、規模拡大に経営の主眼を置いていた。大手が競争力のない中小を買収し、エリアごとのシェアを高める「陣取り合戦」を繰り広げてきた。最大手のウエルシアホールディングスはM&Aをテコに店舗網を拡大。業界2位で北海道地盤のツルハホールディングスもM&Aで南下を続ける。今年3月には、沖縄に初のフランチャイズ店舗を出店した。

しかし、コンビニ業界がそうであったように、今後は市場の伸び悩みが想定される。中長期を見据えて、食品、調剤、化粧品のうちのどの分野を強化するのか。今後は大手ドラッグ同士が手を組むケースが出てくるだろう。ココカラ争奪戦の帰趨は、ドラッグストア業界の今後を占う試金石になりそうだ。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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