徳永:自分自身「私が徳永有美です!」みたいな自己主張の強いタイプではないですし、そんな自信もないんです。自信があるならそれをやってもいいと思うのですが、私は足りないところだらけなので……。その部分をスタッフとともに助け合わなければ、私はこの仕事を絶対にできないと思っています。そういう助け合いの中で起こる化学反応も、見ている人たちにもお伝えできたらと思います。それから、報ステを自分と同じように、働いている女性にもたくさん見てもらいたいと、強く感じます。
テレビに話しかける経験があったからこそ
河崎:働く女性が、等身大の同じ働く女性なんだ、ママなんだ、奥さんなんだというところで共感を持って「あっ、今日も徳ちゃんがなんかしゃべってるから見よう」とか、そういう感覚で報ステを見られるようになるといいですよね。
徳永:そうなればありがたいですね……。どんなに難しいニュースのポイントに対しても「それってどういうことなんだろう」と率直に聞ける人間でありたいと心がけています。多分、私がこの番組にいる意味はそこにあると思うんです。10年以上主婦として、テレビの現場から離れていて、その頃いつもテレビに向かって話しかけていたんです。「どういうこと?」「うーん全然わからない」「あっ、これすごいわかりやすい説明」「そうだよね」なんて。テレビに語りかける主婦時代があったわけで。
キャリアを積むことを一度辞めた人間が、テレビの中に再び戻ることになった自分の役割とは何か。いま私たちの世代で、職場復帰した女性が、家族に対しての罪悪感と仕事に対しての罪悪感と双方に苦しんでいたりする。一度離れた人間がどのように仕事に向き合えばいいのかって、これは本当に大変な問題だと思うんですよ。
今、とんでもなく過酷な状況の中で子育てと仕事を両立させようとする女性も男性も多いはずです。でもいつか、物理的にも精神的にも重しがとれて、今よりも少しは楽に働くことができて「これでいいんだ」と思える時代が来たらいいなと思います。なので、その時代の移り変わりの中で、私のような一度仕事から離れた人間でも「なんとかやっています。なんとか頑張っています。完璧ではないですが……」という感じで生きているつもりです(笑)。どうか温かい目で見ていただけたらありがたいと思います。
私は、「輝かしいキャリアを積んで、たくさんの取材をし、いろんな経験もあって、ゲストの話にも鋭く質問します」というようなキャスターではありませんから。日々、勉強であることは間違いありませんが、自分たちが歩んできた人生にはさまざまなことがあって、さまざまな時代があって。そんな私が、いまここにいてどんな姿でいられるのか。どんな話が聞けるのか。毎日起こる悲しいニュースや憤るようなニュースに対して、どう向き合っていけるのか、という原点のような気持ちは大事にしなくちゃいけないと思っています。
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