河崎:私、局の看板ニュース番組のアンカーとして、小さなお子さんをお持ちの40代の女性キャスターがニュース原稿を読んでいるのって、エポックメイキングなことなのではないかと思っているんです。これまで報道の最前線に家庭人の香りであるとか、人間的な背景を感じさせるのってタブーだったのかと思わせるほどに、女性のアンカーやキャスターってどこか無機的であろうと務めていらっしゃった部分があるように感じます。
でも徳永さんって有機的っていうか、人間臭いというか、そこがすごくチャーミングでいらっしゃると。番組としてそういう方針転換、こういう女性をアンカーに持ってきた理由ってあるんでしょうか?
徳永:あるんでしょうかねぇ(笑)? スタッフには「母である部分を全面的に押し出す必要はないけれど、その部分は大事にしてほしい」と言われましたし、自分でも思っています。ただ、母で妻で女ではありますが、私は決してその代表ではないし、代表にはなれないです。母であっても生き方もみんな違いますし、いろいろな考え方の人がいますから。決して代表ではないけれど、母で妻で女である私は「こう思います」というスタンスで。中でも「母である自分」は心の中でそっと大事にしていきたいと思っています。
女性だからこそ悩む「生き方」
河崎:いま、共働きという夫婦スタイルや育休制度などが浸透し、働く女性の姿が一般的になった一方で、「母で妻で女で」という自分とのせめぎ合いのようなところで思い悩む女性も増えていますね。
徳永:いま20代や30代前半の若い子と話す機会が多いんですけど、みんな自分の人生を悩んでいるんですよね、多分女性の人生のほうが圧倒的にダイナミックな選択肢があって、そこはすごく悩むところだと思うんです。彼女たちから「どうしてそういう選択や決断をしたんですか」と聞かれるときがあるんですが、私なりにいつも言っているのは「どの決断をしても、どの選択肢を取ったとしても後悔しないことはない」と。
“後悔のない人生を歩みなさい”なんて言葉があるけれど、後悔ゼロの人生なんてない。どの選択をしても必ず後悔はつきまとうものなんじゃないかなと思うんです。でもどうせ後悔するんだったら、自分の腹がいちばん決まること、いちばんしたいと思うことをやるしかない。そうすればその先の苦労や後悔はしょうがないと自分で思えるから、乗り越えられるし、後につながると思うんですよね。
たぶん私自身はそうやって生きてきて、その時その時にすべてを注いできた結果が今なのかもしれないと思います。今、置かれている状況は自分でも本当に想像だにしなかったことなんです。「報道ステーション」でニュースを伝えていること自体、私の中ではある意味、奇跡です。
決断に対しての気持ちが強ければ強いほど次のパワーが生まれると思うので、本当に自分がこれだと思うものを見つけたら、そこに向かって突き進むしかないんじゃないかなと思います。
河崎:私の新刊のタイトルが『オタク中年女子のすすめ #40女よ大志を抱け』で、その名のとおり40歳を過ぎて、女が大志を抱くことのできる時代になっているということをテーマにしています。
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