トランプ大統領、メキシコに5%関税導入表明 

日本の自動車メーカーなどアジア株売られる

 5月30日、トランプ米大統領は、メキシコ国境からの不法移民流入に同国が十分に対応していないとし、6月10日以降メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課し、移民の流入が止まるまで関税率を段階的に引き上げると表明した。写真は米コロラド州で撮影(2019年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 30日 ロイター] - トランプ米大統領は30日、メキシコ国境からの不法移民流入に同国が十分に対応していないとし、6月10日以降メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課し、移民の流入が止まるまで関税率を段階的に引き上げると表明した。

メキシコ国境の壁建設計画など不法移民対策に取り組む一方で移民流入に歯止めが掛かっておらず、強硬姿勢を強めた。

トランプ大統領は関税を課す方針を突然ツイッターで明らかにし、その後声明を発表。メキシコ政府は不意を突かれたもようだ。

米国は関税発表によりメキシコとの関係悪化のリスクを高めただけでなく、中国との通商協議が停滞する中で、貿易戦争の戦線も拡大させたことになる。

トランプ大統領は声明で、中米諸国からメキシコを通って米国に入る移民の流れを止める対策をメキシコが講じなければ、関税率は7月1日に10%、8月1日に15%、9月1日に20%、10月1日に25%に引き上げるとした。

その上で「メキシコが有効な対策を講じて不法移民危機が緩和された場合、関税は撤廃する。この決定は米国の独自の判断で行う」と表明した。

発表を受け、市場では貿易摩擦の激化によって世界経済が打撃を受けるとの懸念が広がり、メキシコペソや米株価指数先物が下落したほか、メキシコから米国に車を輸出している日本の自動車メーカーなどアジア株が売られた。

トランプ大統領は関税適用について、「国際経済緊急権限法(IEEPA)」に基づく大統領の権限を行使するものだとし、「メキシコの受け身の協力で多数の(移民の)流入が容認されている状況は緊急事態であり、米国の安全保障と経済に対する緊急の脅威に相当する」と主張した。

その上で「メキシコには非常に強力な移民法があり、本国送還などの方法で不法移民の流れを容易に止めることができる」との見方を示した。

ホワイトハウス高官によると、トランプ大統領は、米国境警備員が29日にメキシコ国境から不法入国しようとした1036人のグループを拘束したことに強い懸念を示したという。

トランプ大統領に近い関係筋によると、関税政策を実行するかどうかを巡り政権内で議論が行われ、より外交的なアプローチを促す意見も出たが、大統領は関税導入を主張した移民政策強硬派に同意したという。この関係筋は「トランプ大統領が最も嫌がるのは、弱くみられることだ」と語った。

トランプ大統領の発表は、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」の批准にも影響する可能性がある。

メキシコのセアデ外務次官は「(米国と)良好な関係を築いているところに冷や水を浴びせられた」と述べ、トランプ大統領が関税発動に踏み切れば悲惨な事態になるとの見方を示した。また、トランプ大統領の動きは「極端」だと指摘、メキシコとしては米国の関税に同様の措置で応じるのが通常の対応だが、そうすれば貿易戦争につながると述べた。

メキシコと国境を接するアリゾナ州のデュシー知事はツイッターで、ホワイトハウスと協議したことを明らかにし、議会は国境警備問題とUSMCAを巡り行動する時だと強調した。

マルバニー米大統領首席補佐官代行は電話会見で、メキシコからのどの輸入品が関税の対象になるかとの質問に対し、「全部だ」と答えた。また「これは緊急の課題である」とし、「メキシコ政府が今夜、明日にも行動することを望む」と述べた。

ウエストパックのシニア為替アナリスト、ショーン・カロウ氏は「米国が2週間以内にメキシコからの輸入品に関税を発動するとの警告は投資家心理に大きな打撃だ」と指摘し、「メキシコは米国にとって重要な貿易相手国であり、貿易摩擦の拡大は完全に市場の想定外だった」と語った。

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