ダイドー「無人コンビニ」との提携に透ける焦り ベンチャー企業と組み自販機事業をテコ入れ

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縮小

背景には、コンビニとの競争激化がある。自販機での売れ筋商品は容量が少なく収益性の高い“ドル箱”の缶コーヒーで、「自販機の売り上げのうち3割程度は缶コーヒー」とも業界では言われている。その需要が、コンビニ各社が力を入れるカウンターコーヒーに流出していると、業界では見られている。さらに昨年、大容量のPETボトルコーヒーがヒット。缶コーヒーからの需要シフトがさらに進んだ。

自販機への依存度が高いダイドーグループは、市場縮小のあおりをもろに受けている。今2019年度は売上高1700億円(前年同期比0.9%減)、営業利益34億円(同44%減)と、大幅減益の見通し。自販機での売上高は下落傾向が続く。

直近でも、5月末に発表した2019年度第1四半期(2019年1月~4月期)の決算では、コンビニやスーパーなどの販路が前年同期実績を上回ったのに対し、自販機の販路では4%の減収だった。人手不足を背景に、商品補充にかかる人件費や物流費の高騰も利益を圧迫している。

狙いを定める「企業のオフィス」

採算が取れない自販機の撤去を進める一方、ダイドーグループが新たな設置場所として狙いを定めているのが、企業のオフィス内だ。「屋外と違い、オフィス内は多くの人が長時間滞在する場所なので商品の回転率が高い」(大手自販機ベンダー)。

ただ、好立地のオフィス内を狙うのは、どのメーカーも共通している。設置する際には飲料の価格やリベート(設置奨励金)などの条件で入札になることが多く、「規模の大きいメーカーとの競争になると、入札で勝ったとしても採算が悪い条件になってしまうケースがある」(ダイドーグループ関係者)。

体力勝負に陥らないためにダイドーグループが目をつけたのが、600の無人コンビニ。「飲料だけでは取り合ってもらえなくても、無人コンビニも同時に提案すると興味を示してもらえる」(ダイドーグループのIR担当者)と、自社の自販機と無人コンビニの「セット営業」が大きな武器になると見ている。

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