前立腺肥大症は、確かに排尿に障害が出る場合、手術の選択もある疾患だ。ただ、この疾患は50代を超えるとかなりの確率で起こる。50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%が肥大すると言われている。
はたして、新宿に住むホームレスを、わざわざ熱海まで連れて行ってまで手術する必要があったのだろうか?
おそらくは国から診療報酬をもらうための詐欺的な手口である。ホームレスを手術して、多額の診療報酬の請求をしていたのだろう。
ホームレスを手術して、診療報酬を不正に受給するやり口だ。にわかに信じがたい出来事だが、実際にある。ちなみに新宿のホームレスの間ではホームレスに声をかけて病院に連れて行く人たちを、“病院手配師”と呼んでいた。
固有の呼び名がつくほど数がいるのだ。
詐欺とまでは言えないが、生活保護受給者を受ける患者に対しては、高い治療を施す病院も少なくない。
ドヤ街近くにある病院では看板に『生活保護取扱い』と大きく書いてあるところも多い。
そのような病院で働く看護師に話を聞くと、
「患者は自分でお金を払うわけじゃないから、いくら高い治療でも平気です。先生もそこらへんは踏まえてますから、看護師として『その注射は打たなくていいんじゃないかな?』と思う注射をドンドン打ちます。正直な所、あからさまにお金を稼ごうとしています」
と話してくれた。
違法とは言えないかもしれないが、誠意のない治療法である。
あこぎなやり方で稼ぐ病院の実態
手術ではなくアルコールなどの中毒から回復を目的とする精神科の病院もある。前述のとおり、確かにホームレスにはアルコール依存症の患者が多い。治療が必要な人も多い。
治療するのはもちろんいいが、かなりあこぎなやり方で稼いでいる病院は問題だ。
下請けとして、都内の貧困ビジネス系の精神科の病院に関わった人に話を聞いた。
「現場で見ていて、かなりヤバイ感じがしました。患者のほとんどはアルコール依存症のホームレスか生活保護受給者なんですが、毎日どこかからワゴン車で連れてきて、クリニックで軟禁してしまうんです。
そして彼らの持ち物とか、全部勝手に捨ててしまうんですよ。『生活に支障のない程度に整理する』と言っていたのに、結果的には全部容赦なく捨てました。その際に、現金も取り上げてしまいます。『患者が勝手に酒を買わないようにする』らしいのですが、やりすぎだなと思いました」
ホームレスも荷物を全部捨てられてしまっては、野宿生活に戻るのは困難になる。病院としては、彼らを二度と帰すつもりはない。
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