ホームレスを食い物にする輩のありえない悪行 彼らの健康事情と貧困ビジネスの結びつき

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彼らは狭く区切られた最低限の施設の住み、最低限の食事が与えられる。治療行為がないわけではないが、ほとんど飼い殺しだ。そして生活保護費からガッツリと治療費はいただく。病院には、彼らが生きている限り継続してお金は入り続ける。

違法行為ではないのかもしれないが、かなり強引な手法で稼ごうとしているように見えた。その病院の年商は20億円を超えていた。

病気よりもおそろしい社会の闇

そんな病院によるホームレスの貧困ビジネスの中でも最悪のケースは、2009年に発覚した奈良県の「山本病院事件」だろう。

心臓カテーテル検査を行ったように装い、診療報酬をだまし取っていた山本病院(筆者撮影)

山本病院では、西成の生活保護受給者向けのマンションに直接出向き、入院の勧誘をしていた。実に入院患者の6割が、生活保護受給者だったという。

そして入院患者に、心臓カテーテル検査を行ったように装い、診療報酬をだまし取っていた。2005年度には275件、2006年度には196件の心臓カテーテル検査を実施したと、記録されている。

本当に手術をしたケースもあったようだ。

患者に対し、

「手術やらんと死ぬで!!」

と、とても荒い口調で手術をすすめたという。そして手術は失敗して、患者は亡くなった。結果的に山本病院では、狭心症のある女性看護師にも半強制的に心臓カテーテル手術を施し死亡させた。

まるでサスペンス映画のような、恐怖の治療を繰り返した山本病院は、元理事長らが逮捕されて幕を閉じた。

ホームレスの健康を利用して金を稼ごうとする人たちは、実はたくさんいるのだ。

病気よりも、むしろそういう社会の闇のほうがおそろしいと思った。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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