トヨタ・パナ住宅統合、歴史から読み解く意味 偉大な創業者たちの問題意識を継承できるか
今回のトヨタ自動車とパナソニックによる住宅関連事業統合は、自動車と家電の巨大企業の連携という点が注目されがちだが、さらなる再編の始まりと位置づけられる。それがこの記事を書こうと考えた第1の理由である。
第2の理由は、統合するとはいえ、シナジー効果の発現はなかなか難しいことだと指摘したいためでもある。それは、先に統合を進めてきたトヨタホームとミサワホームの現状を見ればわかる。
トヨタホームとミサワホームが資本提携したのは2005年。それから15年ほどが経過した今まで、双方に役員や社員を出向させ融和を図ってきたが、業績や収益の拡大につながる目立った成果は残念ながらあまり見られていない。
目立った成果が出ない理由
これには理由があって、同じ工業化住宅でありながらそれぞれで異なる工法を採用していること、出資側であるトヨタホームのほうがミサワホームより規模や実績が乏しく、住宅事業の運営の未熟さがあったことなどがある。
ただ、細かく見ればミサワホームの経営状況が改善され、事業の多角化が進んだこと、トヨタホームにとっては商品のデザイン性や提案力が向上したことなど、さまざまな進展もあった。
ある報道によると、今回の統合の話はパナソニック側から提案され、トヨタ自動車側も積極的に検討したとのことだが、トヨタ自動車がそうしたのは、トヨタホームとミサワホームの現状を考えると、統合により多くのシナジー効果を発現するための打開策を求めるためと、筆者には感じられた。
どのような業種でもそうだが、異なる風土、個性を持つ企業の統合で成果を上げるのは大変難しいこと。ましてや、住宅産業自体が大きな転換期にある時代ではなおさらである。ここに、また違った風土を持つパナソニックホームズが加わることで、より一層の困難な状況が生じないとも限らない。
ちなみに、3社の企業規模を2017年度の連結売上高をベースに比較すると、トヨタホームが5529億円(このうちミサワホームが3885億円)、パナソニックホームズが3574億円と、ミサワホームの規模が最も大きい。
現状では、将来的にこの3社がどのような形で事業を進めていくのかはっきりしておらず、どの企業が中心になっていくのかを含め不透明な側面もある。
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