「『球数制限』をすれば、選手が投手をする機会が増えます。これまで指導者が固定観念で、『投手はこの子にしかできない』と思っていたのが、100球に達してしまったから別の子に変えてみたら、すごいいい球を投げた、これは試合で使えるぞ、となれば新たな展開が広がる。
『球数制限』は直接的には投手に関する話ですが、そういう形で固定観念がなくなっていってゲームのバリエーションが広がります。選手の活躍の機会も増えます。『球数制限』は『球数制限』にあらずとはそういう意味です。こういう発想をしていかないと、野球の未来はないでしょう」
「甲子園至上主義」でいいのか
富樫氏は地域の格差にも言及した。
「甲子園はいろいろ問題があるにせよ、今も人気はあって繁栄していますが、地方はそういう状況ではありません。人口減少、高齢化に加えて『野球離れ』も進行しています。野球が、子供たちの健康を考えないスポーツということになれば、『野球離れ』はさらに進行します。球数制限だけでなくて、野球の未来を見据えた改革が必要です。今の高校野球は『甲子園至上主義』ですが、そればっかりでいいんですか、ということですね。
2011年に文部科学省が制定したスポーツ基本法には、『これ(スポーツ)を通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である』と書かれています。スポーツマンシップは、この権利のために存在する。そしてそれを体現するのが高校野球などスポーツの責務だと思います。
『球数制限』は、原点に戻って、みんなのための高校野球を考えるきっかけになればと思います。
今春の甲子園でも『サイン盗み』の疑惑が問題になっていましたが、スポーツマンシップに則れば、あのような疑わしいと思われる行為は起こらないと思います。
野球のルールや戦術ではなくてスポーツマンシップを再度理解する必要があるのではないでしょうか」
新潟県高野連は、この日の抽選会の後、指導者を対象とした「スポーツマンシップ講演会」を開催した。講師は日本スポーツマンシップ協会代表理事で、千葉商科大学サービス創造学部専任講師の中村聡宏氏と、アジア野球連盟審判長の小山克仁氏だった。
「球数制限」で高校野球界に一石を投じた新潟県高野連は、さらに前進しようとしている。
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