高校野球で「球数制限」の議論が進まないなぜ 勝敗も重要だがスポーツマンシップも大切だ

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新潟県青少年野球団体協議会は、新潟県野球協議会の「強化育成部門」と位置付けられている。多くの地方では、プロ、アマ、学生野球、独立リーグはバラバラに活動し、連携はほとんどないのが現状だ。この「縦割り」が、野球改革の取り組みの障壁となっているが、新潟県ではその障壁はなく「みんなで野球を考える」ことが当たり前になっている。

富樫氏は協議会の設立を推進した一人でもあるのだ。

取材に応じた新潟県高野連の富樫会長(筆者撮影)

「こういう協議会があるのは、全国でも新潟県だけでしょう。もともと県立野球場の建設などの目的で、県内の野球団体がまとまったのがきっかけですが、協議会ができたことで新潟の野球を包括的に考えることができるようになりました。

今回の高野連の『球数制限』についても、他の野球団体へのアンケートも行って、新潟県野球界の総意として導入を決めました。機関決定は誠にスムーズでした。

新潟県高野連は、球数制限をすることで、新潟県の野球界をけん引するというプライドを持って推進しようとしていました」

「球数制限」導入の機運は高まったが…

こうした経緯で、2018年12月22日、新潟県高野連は、新潟県青少年野球団体協議会主催の「NIIGATA 野球サミット 2018」の席上、4月の新潟県大会から100球を上限とした「球数制限」の導入を発表した。

これに続き2019年1月5日の「ぐんま野球フェスタ2019」では、全日本軟式野球連盟の宗像豊巳専務理事が、今夏からの学童野球での球数制限の導入を推進すると発表。

筆者はこのときに宗像専務理事に話を聞いたが「新潟県高野連の英断に勇気づけられた」と語っていた。

この時期、「球数制限」を導入する機運は、全国的に高まっていたといえるだろう。

「しかし、発表すると日本高野連の内部では、応援していただけるという声はほとんどありませんでした。外部の声も、当初は賛否両論ありましたが、導入の真意が伝わるとともに、賛成の声が圧倒的に多くなりました。プロ野球選手なども含めて、導入に踏み切るべきだと言ってくださったのですが、高野連内部と外部の意見のギャップには戸惑いました。

当連盟の杵鞭義孝専務理事が1月7日に日本高野連に赴いて、なぜそうなったという経緯を説明しましたが、そこでは結論は出ませんでした」

結局、日本高野連は「時期尚早」という結論を出した。

次ページ当初は反対でも導入する予定だった
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