当初は、賛同が得られなくても導入する選択肢も考えていた。
「そのための準備もしていた。具体的にはイニングが終わったときに累積の球数をアナウンスするつもりでした。球数をカウントするという仕事が増えますが、新潟県高野連では球数も含めた公式記録を作成できる生徒やスタッフを育成してきました。だからスタッフを増員することなく、『球数制限』を導入できると考えていました」
しかし、最終的には導入を見送った。
「日本高野連に加えて、各都道府県連盟が賛同していないのに無理だろう。ここで強行してしまっては、われわれの立ち位置が変わってしまうということで、断念しました」
有識者会議で掘り下げたいこと
富樫氏は4月から日本高野連が諮問する「投手の障害予防に関する有識者会議」の13人のメンバーの1人として議論に参加する。
「『球数制限』の導入発表で、高校野球のあり方に一石を投じたつもりです。端的に言えば『球数制限は球数制限にあらず』です。
『球数制限』というと、ファウル打ちをされたら、投手がいなくなるなど、いろんな反論がありますが、私たちは次元の違う話をしています。
日本高野連では『勝敗にかかわることだから慎重に議論すべきだ』と言っていますが、スポーツは勝敗を決めるためだけにするのではなく、スポーツマンシップに則ってやるものです。もちろん勝利を求めますが、それよりも大事なものがある。それを掘り下げるのが、この会議の目的だと思います。
『球数制限』の問題を通して、子供たちの身体の健康の問題に言及すべきだと思います。それと同時に生徒の心の健康面、スポーツ、スポーツマンシップの在り方なども深まるような有識者会議になってほしいと思います。『球数制限』の問題を、日本高野連はルール化の問題だと思っていますが、私はルールの話ではないと思っています。その時点でボタンの掛け違いがあると思います。
また『球数制限』をすることで、選手層の薄い公立高校が不利になるという話がありますが、それもおかしい。別に甲子園に行くことだけが高校野球の目的ではありません」
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