「ふるさと納税バブル」で一番儲けたのは誰か

これからも続ける意味がどれだけあるのか?

6月からは国が3つの基準を設け新制度がスタート、国の審査を経た自治体しか税制優遇の対象にしないことになります。3つの基準とは、(1)寄付募集の適正な実施(2)返礼品の調達費が寄付額の30%以下(3)返礼品は地場産品に限定、というもので、泉佐野市など「従来の返礼品競争の勝ち組たち」の認定は厳しいというのが多くの見方となっています。

ふるさと納税の大きな問題は、国と地方を併せた税収が拡大するのではなく、返礼品や自治体の人件費など含めて実際には税収総額は減少するということです。

今度は国が細かな審査を経て認定をするしない、といったようなやりとりが追加発生します。さらに国と地方にさらに業務コストが上乗せされるため、ふるさと納税は国と地方を連結すれば、実際のところは返礼品調達で3割の経費、サイト運営や配送料といった外注費、国と地方などの業務管理にかるコストが増大し、結果としてその分公共サービスに回す財源が減少します。約4000億円のふるさと納税総額は、結局公共サービス以外に大きく使われていることを忘れてはいけません。

いちばん儲けたのは、サイト運営者とアマゾン!?

それではふるさと納税で最も儲けたのはどこか?といえば、サイト運営者やアマゾンと言えるでしょう。

雨後の筍のように乱立するふるさと納税サイトについては、テレビCMを見た方も多くいるのではないでしょうか。東海テレビの調査によると、東海地方125自治体へのアンケート調査によると全体流通額の10%程度が運営費として支払われたとされます。ということは、全国で約4000億円のふるさと納税市場において、約400億円がサイト運営費として支払われたと推定できます。

さらに、最近では各社ともサイトで目立つような広告枠の販売に力を入れており、自治体はわざわざ広告枠を追加で購入して宣伝をしようとしています。今後返礼品率が抑えられるため、ふるさと納税の主戦場は広告宣伝とも言われています。このようにふるさと納税を獲得するために、また税金で広告枠をバンバン買うという、まったくよくわからない構造が発生しています。

このような中、ふるさと納税サイト老舗であり、返礼品数No.1とするふるさとチョイスを運営するトラストバンク社は昨年、東証1部上場企業であるチェンジという会社が48億円で買収しています。全国の自治体との営業チャネルとサイト運営の収益性が評価された結果と言え、それだけ儲かるビジネスになっているということです。

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