市民権を得たガンダム語り
2つ目のポイントは、深夜バラティ番組「アメトーク」。ここで、土田晃之、有野晋哉、千原靖史らアラフォー世代のタレントたちが「ガンダム芸人」として、喜々としてこのアニメについて語り出したことで、「ガンダム語り」は完全に市民権を得た。そして、われらアラフォー世代の共通言語として完全にて定着したのだ。
普通であれば、年齢を増すとともにガンダムを卒業する人が生まれるはずなので、ガンダムのノスタルジー市場は縮小していくはずなのだが、ガンダムは逆に拡大していったのだ。
こうした知識の強化、再強化の段階を経て何度も何度も矢継ぎ早に消費させられるさまを、ガンダム用語を用いて「ジェットストリームアタック消費」とネーミングしたくなるところであるが、そろそろすべてをガンダムに置き換えて語るという語り口自体をどうにかせねばならないので、ネーミングはしないことにする。
みなさんも、赤いモノは3倍速いとか、勝つのは「白いほう」とか、物理学的に根拠のない迷信はもう忘れるべきだ。
「繰り返し消費」。それはまるで、小学校で習った魚の毒の蓄積濃度の話のようだ。水銀などの汚染物質は、小魚よりもそれを捕食するより大型の魚になるほど毒を蓄積して濃度が高くなるが、われらアラフォー世代のガンダム消費も、年を取るに従ってその濃度を増し、数も増えていく。尾崎豊にせよ、小沢健二にしたってこれは同じだ。どちらも共通体験ではないものが、のちに共有され、消費アイテムとなっていった感がある。
長い目で見れば、われわれは結局のところは「消費大好き世代」だったのだ。頭数の多いわれらアラフォー世代は、いろいろな機会で「繰り返し消費」の被害者となってきたのだ。そしてこれからも……。さ、マイケル・ジャクソンの『マン・イン・ザ・ミラー』のアカペラ版が発見されたとかいうから、見に行ってみるか……。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら