「オレ本番強いから」と豪語する人が失敗する訳 むしろプレゼンで緊張する人のほうが有望

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プレゼンもまったく同じです。話し下手でも、自分しか語れない、相手が関心のあることを語れば、相手は真剣に話を聴いてくれます。

いくら上手に自分が話したいことだけ話しても、聴き手が知りたいことでなければ、相手には届きません。さらに相手が聞きたいことでも、他の人でも語れる内容だったら、相手は聞き流します。聴き手が求めていて、自分しか語れないメッセージを伝えることで、相手はあなたのプレゼンを聴いてくれるようになります。

プレゼンの目的は、人を動かすこと

私のお客様の例を紹介しましょう。この方はエンジニア出身の社長さん。地味で無口。実直な性格です。一見哲学者のような風貌で近寄りがたい印象もあります。さらに部下の作った資料を読み上げるのが習慣になっているので、説得力もいま一つでした。

入社直後の新入社員さんへの挨拶で、プレゼンすることになりました。社長さんは、「新入社員には、すぐに辞めてほしくないんだよね。できるだけ長く働いてもらいたいなあ」と思っています。社長さんの真の目的は「辞めてほしくない」です。

自分の信念なら、資料を読み上げなくても話せます。そこで、仕事の信念や、若い頃の失敗談をバリュープロポジションに従って語ってもらうことにしました。

1 聴き手が知りたいこと:ちゃんとやっていけるかな?
2 他の人が語れること:仕事で成長しろ。つらいこともあるが頑張れ
3 社長さんが語れること: 私もいろいろ失敗しています。自分の仕事の方法は、失敗を恐れず進むこと
『緊張して話せるのは才能である』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

バリュープロポジション→仕事の信念と失敗談を語り、新入社員さんを安心させ、やる気を引き出す。

プレゼン後のアンケートでは、9割以上の人が「とてもよい」に〇をしていました。コメントにも「仕事でしんどくなったら、社長の言葉を思い出して踏ん張りたい」とありました。社長さんの目的は達成されそうです。

そもそもプレゼンの目的は、人を動かすこと。でも緊張せずに事前準備しない人は、人を動かすことができないことも多いのです。緊張している人こそ、緊張克服のために事前準備をちゃんと行うことで、人を動かすことができるようになります。

永井 千佳 トップ・プレゼン・コンサルタント、ウォンツアンドバリュー取締役

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ながい ちか / Chika Nagai

桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業。極度のあがり症にもかかわらず、演奏家として舞台に立ち続けて苦しむ。あるとき緊張を活かし感動を伝えるには「コツ」があることを発見し、人生が好転し始める。その体験から得た学びと技術を著書『緊張して話せるのは才能である』(宣伝会議)で執筆。経営者の個性や才能を引き出す「トップ・プレゼン・コンサルティング」を開発し、経営者やマネージャーを中心に600人以上のプレゼン指導を行っている。NHK、読売新聞、雑誌『AERA』、『プレジデント』、『プレシャス』、各種ラジオ番組などのメディアでも活動が取り上げられている。永井千佳オフィシャルサイト https://nagaichika.jp/ Twitter: @nagaichika

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