桜庭吉彦52歳、「釜石のラグビー」に懸ける思い ラグビーW杯のアンバサダーとしても活動

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ラグビー日本代表として活躍した桜庭氏(撮影:梅谷秀司)

桜庭はラグビーの名門、秋田工業高校から新日鐵釜石に入社。

1987年に開かれたラグビーW杯の第1回大会をはじめ、1995、1999年と計3回出場するなど、日本代表としても長きにわたって活躍した名ロック(LOと略され、スクラムの推進役のポジション)だ。

190センチメートルを超える長身を生かしたキックオフやラインアウトなど空中戦での強さが印象に残る。

桜庭が「桜のジャージ」を身にまとったのも、新日鐵釜石でのプレーぶりが認められたからこそ。

釜石の人々の応援が大きな励みになったのは想像に難くない。それだけに、地元への愛は人一倍だ。

「釜石でのラグビーW杯開催をめぐっては当初、従来よりもいい街を作ることで“復興の加速につながる”と考える推進派の一方で、“復興とラグビーのどちらが大事なのか”と見る否定派も少なくなかったのは事実。しかし、今年に入って成功させようとの機運が高まっている」

レガシーとしてのスタジアム活用が課題

鵜住居復興スタジアムではW杯の予選2試合が行われる。9月25日の「プールD」のフィジー対ウルグアイ戦と10月13日の「プールB」のナミビア対カナダ戦だ。同スタジアムの収容人員は約1万6000人。6000人収容可能の常設のスタンドに、1万人のスタンドを一時的に増設して対応する。

気になるのは、レガシー(遺産)としての活用だ。大会終了後は仮説スタンドを撤去して常設スタンドだけに戻すが、それでも釜石の人口は約3万5000人。最寄りの公共交通機関からの交通の便も決していいとはいえず、集客面などに不安が残る。

「あくまでも行政が主体的に考えることだが、われわれも“スタジアムの顔”として一緒にやっていければと思っている。サッカーを含めたフットボールスタジアムとしての活用や防災教育の場としても有効だろう」

お手本として想定しているのはJリーグの鹿島アントラーズの本拠地、茨城県のカシマサッカースタジアムだ。

「クリニック、ウェルネスプラザ(スポーツジム)、散歩スペースを敷地内に設けるなど人を集める工夫をしている。ラグビーとサッカーでは市場規模はまったく異なるが、参考になる仕掛けが多い」

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