グローバルエリートの役割とは何か
さて、「反日教育が義務化され、反日デモへの参加が成績の習得や就職に有利になってきているありさま」というのは驚きの初耳で、今、韓国に住んでいる友人に確認しても、まったくもって事実と異なっているのだが、このようなデマが普通の高校生(しかもいわゆる一流大学に進学する層)に浸透していること自体、いかに日韓両国の間で誤解が広がっているか推し量れる。また今回の安倍首相による靖国参拝を受けて、来年にかけて双方の国で感情的な反発と非難の応酬が繰り広げられることであろう。
そんな中で親愛なる読者の皆様にお伝えしたいのは、この一女子高校生のように、「単に一国に閉じた政治屋やメディアを盲信するのではなく、直接、相手側と対話しよう、耳を傾けよう」という、ローカルに閉じた政治家やメディアのフィルターを乗り越える試みと心のオープンさである。
大学生を過ぎて思想が凝り固まってしまうともう手遅れで、大人になるとインストールされた偏見に沿った視点でしか情報を集められず、新たな情報を受け付けられなくなるのが弱い人間の性である。よって、次世代を担う若い人たちにこそ、時の政治家に大いに左右される学校やメディア任せでなく、自主的に視野を広げる努力をしてほしい。
一国だけに閉じた政治屋やマスコミに自分の情報源、考え方、生き方を限定されない。またそれに縛られている自分に気づく――これがグローバルに生きることの第一歩でもあるが、そんなグローバルな視点を身に付けるのに最善の本が先日発売され、話題沸騰になっているという。
1年の連載を通じて伝えたかったこと
「なんや、これだけ真剣に世界中の話をしてきて、最後は宣伝かい」というおしかりの声が聞こえてきそうだが、私が本コラムで伝えたかったこと、1年を通しての連載で最も伝えたかったこと、そしてこの著作で最も伝えたかったことは、一貫して共通している。
「次世代を担う若者を、ローカルな視点のみで洗脳しにかかる政治屋や低劣なメディアから身を守り、グローバルな視点を自ら求めていろんな国と日本をつなぐ、グローバルエリートの役割をひとりでも多くの若者に志してほしい」という私の強い思いが、本連載の一貫したメッセージのひとつでもあった。
親愛なる読者の皆様にとっては、今回の安倍氏による靖国参拝並みに突然の寝耳に水な話ではあるが、仮に私、初代グローバルエリートによる「グローバルエリートは見た!」が、来年しばらく休暇に入ったとしても、私は皆様の今後のグローバルな思考の広がりと、「思考の国際化」がさらに進むことを楽観視している。
皆様一人ひとりの中で「一国に閉じた視野狭窄な政治屋やメディアを私は超え、他国の人々と信頼関係を結び、日本を世界とつなぐ」というグローバルエリートスピリットを燃やしていただけることを、切に願ってやまない。
2014年は、国内だけでなく国外からも広く信頼と尊敬を集めるようなグローバルリーダーが、私の愛する親愛なる読者の皆様の中からたくさん現れてくださることを祈念しつつ、楽観的な未来を信じて筆を置かせていただく。
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