日産が懸念する、反日感情の再燃 尖閣問題後、販売不振続く

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日産が中国に投入した主力高級車の新型「ティアナ」

日産自動車が日中関係の動向に神経を尖らせている。2013年4~6月期決算発表の席上、日産役員の一人は「8月に靖国参拝問題が深刻化するのが最大の懸念材料。参院選までは中国も様子見をしていたと思うが、自民党が参院選の圧勝を受けてどう動くか。政府には日中関係を改善してもらうよう働き掛けている。この問題は一企業では対処できるものではなく、何事もなく過ぎるよう、祈るような気持ちだ」と胸の内を明かす。

日産にとって中国は、日本の2倍の台数を販売する最大のマーケットで、2011年度までの成長を支えた屋台骨だ。しかし、12年9月の尖閣問題で状況は一変、販売状況はいまだ正常化していない。最悪期こそ脱したが、2013年1~3月期は前年同期比で15%減、13年4~6月期も、主力高級車種の新型車「ティアナ」を投入したものの、1%減となった。同じ時期に全体市場は、それぞれ15%、10%と好調な伸びを続けているだけに、市場の伸びに追随できていない、厳しい状況がうかがえる。

「年末には市場全体の伸びに追いつく」と挽回を目指す日産だが、安倍晋三首相以下、自民党政府が靖国参拝問題で中国を刺激し、反日感情を再び高めようものなら、すべての努力は水の泡だ。

日本メーカーはGM、VWに出遅れ

世界の中で圧倒的な市場規模になるのが確実な中国で、そもそも尖閣問題がなくても日本メーカーは出遅れている。2012年の販売台数は、米ゼネラルモーターズ(GM)が284万台、独フォルクスワーゲン(VW)が281万台と首位を争う。日本勢は、9月下旬~12月に尖閣の影響があるにせよ、首位の日産でも118万台、トヨタは84万台、ホンダは60万台に過ぎない。

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